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内容説明
ゲーテは、つねにみずみずしい新鮮な心で、現実をありのままに受けとめ、しかも現実におぼれることなく、理想をもってそれに対処した人であった。はるかに困難な時代のなかにあって、つねにいきいきと生きるために、この師のことばに心をひそめるべきであろう。ゲーテと著者との心の対話を通じて、示唆にみちた豊かなことばの泉から、われわれ現代人への知恵をくみとる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kota
9
詩情と日本語の流麗さを損なわない、名翻訳家で独文学者の手塚氏が、ゲーテの言葉を縦横無尽に引きつつ綴った名エッセイ。ゲーテの言葉と共に生きてきた彼の、半生の記でもある。ゲーテは人も言葉も、広く深く、大きくて、素直に真っ直ぐ受け容れるべきもの。手塚氏も率直かつ真摯に受け応えして、そのお人柄も偲ばれる。そしてやっぱりゲーテの言葉がいい。こせこせせず、爽やかな風の吹く広大な草原で両手を広げて深呼吸しているような、大らかさと爽快さがある。いきいきと生きよ──シンプルな表題だが、それこそが一番大切なことのだ。2019/08/03
ロビン
8
『ファウスト』を読み解く一助になればと思い何気なく読み始めたのだが、これがいい本であった。手塚先生のゲーテに対する理解また愛情の深さと、ご自身の真摯なお人柄が混然一体となり陽だまりの野の花のような温かく美しい読み物になっている。「裏切られて呪う人になるより、あかるい信頼をもちつづける人であること、それはどんなに勇者の名に値することだろう」という一文などグッとくるものがある。ゲーテは悠揚迫らざる人であるが、その彼にも苦悩や逆境があり大勢の敵がいたのであり、その上でそれでも人間を信頼する人であったのだ。偉大。2019/04/22
三谷銀屋
1
ゲーテの著作から抜粋された、人生訓となり得る名言集。恥ずかしながらゲーテを読んだことがなく、なんとなく「難しそう」というイメージだけがあったのだが、本書を読むとゲーテの鷹揚で真摯な人柄、そして著者のゲーテに対する深い敬愛の心が伝わってくる。ゲーテの言葉そのものは抽象的で分かりにくいものも多いが、著者の解説で「なるほど」と腑に落ちる。自身の心に素直に真摯に生きる、というのは当たり前のようでいて難しいが、ゲーテの言葉に示されるように「心を開く」事ができれば人生もいくらか晴れ晴れと生きやすくなるかもしれない。2022/08/13
min
1
この年になってゲーテの言葉を目にすると、まさに青春の青年さながらの情熱でもって人生を生き抜いた御仁だったのだと感じたけれど、巻末の年表で納得。 紹介されているのはいずれも素晴らしい言葉の数々なのですが、巻末の年表でそんな言葉も半分どこかに消えていきました。年表の破壊力が半端なかった。 しかしながら、この年表の破壊力の原動力は、年表に行き着くまでのゲーテの言葉に触れてこそで、実にニクい一冊です。 言葉以上に凄いゲーテの人生…いきいきと生きるって難しい。2020/11/20
うえ
0
「宗教学者の故岸本英夫氏は長いあいだわたしたちの同僚であったが、ちょうど右のゲーテのことばを地で行ったような人だった。大学内のどんな小さな問題にも、かれは全知全能を傾けて、その改善をはかった。わたしにはとてもその真似はできなかった」2013/10/04