内容説明
奔放な妻ヘレンとの生活に疲れはてて失意の酒に酔いしれていたチャーリイ。妻の死によって一人娘への愛情にめざめ、娘を取り返そうとパリに戻ってくるが、ふと出会った昔の女に過去が甦える。第一次大戦後のパリを背景に男女の愛情のもつれを描く。他に「カットグラスの鉢」「冬の夢」「罪の赦し」「金持ちの青年」を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
背番号10@せばてん。
17
2009年10月18日読了。私だって、たまにはこういう本を読むのだ。2009/10/18
高橋 橘苑
15
五つの短編集。うち三編は既読であったから、邦訳された作品は二つの長編を除いて、あらかた読んだことになる。黄金の20年代の劈頭を飾った「楽園のこちら側」は是非読んでみたかった。しかし、過去に訳されているものの入手困難で、次は渾身の力作と云われる、「夜はやさし」を読むことになるだろう。彼の作品は異なる翻訳者なのに、重複して訳された作品が多い。やはり「グレイト・ギャツビー」を越える作品は無いのではないか。富と名声とゼルダを手に入れても、アメリカ・ヨーロッパを旅しても、きらめくモノは見つけられなかったのだろうか。2015/07/16
きりぱい
7
感傷的なイメージのタイトルが素敵だけれど、これは映画の題で、原題(邦題)は「ふたたび訪れたバビロン」だそう。娘を引き取りたいチャーリィと、出直したチャーリィをまだ信じられず姪を渡す気になれないマリアン。どちらの気持ちもわかるけれど、そういう哀しいやり取りを招くに至った、過ぎし日の喪失感が付いて回る物語。女性目線の「カットグラスの鉢」もいい。「あなたのように硬くて、美しくて、空虚で、やすやすと中を見通せる贈り物」としてかつての男に贈られた物。傷付きこわれやすいのはガラスばかりでなく・・ラストがちょっと怖い。2012/11/14
紅葉まんじゅう
4
「七年前、九二年のことでしたわ、あたくしがハロルドと結婚するつもりだってお話しした夜に、わざわざお立寄りになって、おっしゃいましたのよ、『エヴィリン、ぼくは、あなたのように硬くて、美しくて、空虚で、やすやすと中を見透せる贈り物を上げましょう』って。」「カットグラスの鉢」 じわじわと不幸の影が忍び寄ってくるのが不気味。カットグラスの美しさが、それに拍車をかける。全体的に、『グレート・ギャッツビー』との類似、華麗さと虚無感が感じられた。2014/09/19
Holden Caulfield
2
久々のフィツジェラルド 5篇の短篇集、 フィツジェラルドは約160篇の短篇を残している、 ヘミングウェイから、 「君の作品(短篇)の書き方はまるで売春行為だ」と言われたことがある、 1920年代のアメリカで月に$3000も浪費していたのだから売春行為 屁だ糞だと言われても書きまくるしかなかったのだ… 2019/05/04