内容説明
くぬぎ林の中でカメラマンが死体となっていた。手がかりは、外国人の顔を彫ったレリーフと胃中の風変わりな瓦せんべい。捜査の進行に伴い、日本の推理小説史に関係深い証拠品とわかり、それなりに容疑者も浮かんだが、その人物には鉄壁のアリバイ。推理小説ファン垂涎の設定で本格派の巨匠が書き下ろした長編ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エヌる@遅れてきたルーキー
1
本格長編、なんだけど旅情の雰囲気もあり、どこか2時間サスペンス的な雰囲気もある。犯人のアリバイに挑む警察というよくある構造だけど、最後まで面白く読めた。2020/06/02
サードステージ
1
初めて書籍化されたのが昭和51年であることを強調しておきたい。2020/05/14
深川拓
0
電書版にて再読。鬼貫警部の登場するシリーズでありながら、彼が解決にはあまり寄与しないので、そのつもりで読むと物足りない。しかしトリックの練り込みはさすがですし、江戸川乱歩の生地の話や初期の日本推理作家境界のエピソードなど、事件からは少し脇に逸れたエピソードに不思議と魅せられる。そうした雑学が捜査の流れに自然と乗せられているからかも知れない。他方で、男女性差や同性愛に対する考えがやや偏狭なのが気になるが、本格推理としてのクオリティ自体はいまも色褪せていない。2015/12/14
schizophonic
0
アリバイ崩しがメインだが、容易に底を割らない構成の妙といい、盲点をつくトリックといい、細々した時刻表トリックの類が苦手という人にもおすすめ。2010/11/07
ねこまた
0
ミステリ部分ではなく、現代と発表当時では世の中の認識が違うことは強調しておきたい。