内容説明
その夜のファーナム家は、のどかで平和な夜を過していた。ファーナム夫妻、息子、娘、娘の友人、そしてハウスボーイまでが楽しい夜の語らいに、トランプに興じていた……ラジオが突然、第三次世界大戦勃発を報じるまでは! 地下の堅牢なシェルターに全員が避難した一瞬後、シェルターは荒波にもまれる船のように揺れ動き、温度は急上昇した。水爆が爆発したのだ! だが、ファーナム家の人々はかろうじて生き残った。やがてシェルターからでたとき、彼らが目にしたのは、死の灰にまみれた廃墟ではなく、思いもかけぬ世界だった……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七色一味
15
読破。再読です。関東オフ会でこの本の題名が思い出せなかったという…。原題が「Farnham's Freehold」──「ファーナム(家)の自由保有地」。1964年刊行の本書のバックボーンとしては1962年のキューバ危機。この時はアメリカとキューバとの間で核戦争の一歩手前まで迫ったことがあったのかもしれない。本書の主人公ヒューバート・ファーナムおじさん(こちらもおじさんだね)は、自宅地下に自作の核シェルターまで準備するほどの人。そしてとある日の夕餉の時、突然それは起こる──(続く)2011/11/13
アルビレオ@海峡の街
11
核戦争後に生き残った人々のサバイバルストーリーかと思いきや、割りと早い段階でその期待は裏切られる。最初はビバヒルでも観てるかの様なアメリカンなノリについて行けなかったが、そこはハインライン先生。書かれた当時の時代背景がビシビシだけど、なんだかついつい惹きこまれちゃう。最終的に満足するから不思議です。2012/12/11
roughfractus02
7
『異星の客』では身体の非所有のテーマでカニバリズムが出てきたが、本書では獲得される自由(liberty)と生まれながらの自由(freedom)の相剋の中で同テーマが出てくるようだ。核攻撃で米国のある家庭がシェルターに逃れ、その衝撃で2000年後にタイムスリップして軍隊的サバイバルを始める前半は、libertyを求める物語になる。一方、白人がほぼ絶滅し有色人種優位の社会に出会ってカニバリズムがテーマとなる後半は、リバタリアン的な作者自身に潜むfreedomへの矛盾した感情が主人公のフィルタから見え隠れする。2023/11/24
りこ
6
う〜ん、冷戦中の強いアメリカ国民の価値観をそのまま反映した世界観?最後のあれはやっぱパロディなのかな(笑)2014/01/18
gokuu
4
なんだかんだあるけど前に進もうぜゴーゴー、みたいな安定のハインライン節。なぜかたまに色んな作品を読みたくなる。ジョン・ウェイン風の強いパパ、まったく共感できないまま終わったw2012/06/16