ハヤカワ文庫SF<br> 猫のゆりかご

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ハヤカワ文庫SF
猫のゆりかご

  • ISBN:9784150103538

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内容説明

わたしの名はジョーナ。いまプエルト・リコ沖のサン・ロレンゾ島にいる。“パパ”モンザーノの専制政治に支配されるこの島で、『世界が終末をむかえた日』の著者となるべきわたしは、禁断のボコノン教徒となったのだ。 “目がまわる、目がまわる”世の中は複雑すぎる。愛するサン・ロレンゾ一の美女モナが、世界中のありとあらゆる水を氷に変えてしまう〈アイス・ナイン〉が、柔和な黒人教祖ボコノンが、カリプソを口ずさむわたしのまわりをめぐりはじめる――独自のシニカルなユーモアにみちた文章で定評のある著者が、奇妙な登場人物たちを操り、不思議な世界の終末を描いた長篇。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

72
これから先は<フォーマ>しか書いてないんだぞ!原爆の生みの親である博士を取材する作家、見え隠れする奇妙な宗教とアイス・ナイン。やがて舞台は南国の島に移行し…。全編に横溢する風刺と皮肉が読んでいて実に心地よいし、とにかく主人公以外の登場人物が濃い。SFとしてはある分野に属するのだけど、そこに付き物の悲壮感は一切感じられず。これはやっぱりその底に横たわるボコノン教が大きいなあ、常に逆説的でシニカルなようでそれで一片の真理を含んでいるような。読み終えた後は花火を終えたような、狂騒の後の一抹の寂しさを覚える。2019/09/10

アナーキー靴下

69
2年程前に買った本の、多分再読。読んだか怪しいくらい一切思い出せなかったのに、読み始めたら一つ一つのエピソードはほぼ覚えていた。それなのにこの先どうなるのかまったくわからず、ただただデジャヴ感に翻弄される、謎の読書体験。繰り返し読むことでより深く楽しめそうな気もするけれど、それはあやとりを一心不乱に繰り返すが如し、得られるものはより本書を楽しめる能力だけ。つまり何もない。しかしそもそもこの世界にも何の意味もない。とりあえずタイトルは表紙のイラスト通り、あやとりの形を指していて、猫とは一切関係ない(※)。2021/02/16

かえで

58
「世界が終末をむかえた日」というタイトルの本を書こうとしているジョーナの体験するキテレツな終末を描く(作者本人はこういうと怒るけど)SF小説。「ボコノン教」という謎のカルト宗教が常に話の中に出てくる。この架空の宗教を使って、宗教を多いに諷刺している。細かいエピソードを積み重ねて構成されている(何と127章)。ナンセンスなギャグ、ユーモアな語り口で、さらに出てくるやつらはみんな狂人変人偏屈ばかりで笑ってしまう。しかし実は物語には人間の悲しい側面がちりばめられていて、さすが。何だかとらえどころがないのも良い2016/09/17

♪みどりpiyopiyo♪

56
面白かったー。短いエピソードを積み重ねる手法と機知に富んだ会話が軽やかで。風刺、SF、ナンセンス・ギャグ、寓話、逆説。現実をもてあそぶ科学と、現実の代用品としての宗教。途中、SFであることを忘れかけたけど、SF要素が表に出なくても面白いの♪ ■終盤 高まる緊張感と、まさかの虚脱。いえ、事態は全然安泰じゃないのに、ヴォネガットのとぼけた語り口にのせられて、絶望的な状況なのに なんだかリラックスしてしまいました。全てが成り行き任せであっけらかんとしてるのが面白かったです( ' ᵕ ' ) (1963年)(→続2017/11/22

えりか

54
面白い。スピードがあり、シニカルでユーモアがあり、ちょっとしんみりして。「科学」「世界の終末」「宗教」「SF」と聞くと暗さや、小難しいイメージがあるのだけど、そうではないのが好きだなぁ。原爆が落とされた日、その開発者は何をしていたのか。探るにつれ、出会う掴み所のないとても奇妙な人々と、宗教を批判している「ボコノン教」の教え。なんやかんやで、世界滅亡という、とんでもストーリーで楽しめた。「アイス・ナイン」が巻かれるまでの流れの勢いには飲み込まれ、その後の平和的な順応の裏にある、ものがなしさが胸を打つ。2017/08/22

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