内容説明
私はインテリ忍者だ。忍法など信じないし、全然知らない。本業は医者である。にもかかわらず、忍者と自称するのは、迷惑なことに私が忍者の一族に籍を置く人間だからだ。ある日、一族の長老に呼ばれた私は、とんでもない命令を受けた。公儀隠密として志摩まで行けというのだ。忍者の掟は厳しい。嫌々私は命令に従った。だが、私の不吉な予感は当たり、私は眼と耳と舌と四肢を失う羽目になったのである……。忍者とは名ばかりの男が辿る皮肉な運命をコミカルに描いた傑作忍法帖。
感想・レビュー
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MIRACLE
3
表題作のほか7編を収録した短編集。解説に「類型を嫌っている」とあるように、充実した内容になっている。「伊賀の散歩者」は江戸川乱歩のパロディ。解説の中島河太郎も、大目付の河島仲之丞として登場している(筆者本人も、不恰好な風忍斎を演じている)。2013/08/08
Kentarou Takeuchi
2
久しぶりの山プー先生。読んだことあるはずだけど、完全に忘れていたので楽しめた。壮絶悲惨でしかし滑稽な上野クリニック忍者とか、天才の仕業だわ。2018/03/22
洪七公
0
既読本1983/04/11