内容説明
寛永十四年、天草四郎の旗のもと島原の乱が起こる。小笠原家の侍大将として養子伊織が出陣、武蔵も細川家の要請で陣営へ。翌年二月、原城は陥落するが、戦火は由利姫、森都らに新たな運命をもたらす。五十六歳病いに倒れた武蔵は、病いもまた戦いの場と幻と現実のはざまで「わが道、遠し」と呟く。存命中、既に伝説の男となった武蔵の闘志は甦るか。
感想・レビュー
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びぎR
1
『島原の乱が勃発。伊織は小笠原家の家臣として、武蔵は細川家の客分として乱に参加する。由利姫は戦争遺児の救済に奔走する。松山主水は乱の影で暗躍する。乱終結後、武蔵は細川家への仕官をついに決意する。』島原の乱の描写は割りとあっさり、作者はキリシタンに思い入れは無いようだ。由利姫は思ったよりも強く自立していて、その弟(?)伊織も早々に出世して活躍と、これは足利将軍家の血の強さなのか? 主水は敵役としてしぶとく出てくるが所詮武蔵の敵ではない小物感が漂う。が、この小物感が魅力なのかもしれない(笑)2019/09/23
inami
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大山倍達のベース2004/08/25
Shoichi Kambe
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*そこは下総国行徳村からざっと一里ほどある寒村だった。いやむらというほどな戸数もない。一面に篠やあしな雑木の生えている荒野であった。里の者は、法典ヶ原と言っている。 *…この法典ヶ原に、二人の寝小屋が建ち、二人は毎日、鋤と鍬を持って、まず足元の一坪から開墾し始めた。 *…彼の満身は、野望に満ちていた。その彼に禄の望みがないわけもなく、自分の力で能う限りの名声も、また立身も望んでいた。佐々木小次郎。…この時代に自分は剣にかけては天禀の質を持って生まれてきたーと、こう彼は考えている。 2022/07/11