出版社内容情報
二人の天才の秘密──半世紀の蓄積をかけた、著者渾身の「共時性の研究」
中世にも近代にも収まらない、歴史を超えた二つ…中世にも近代にも収まらない、歴史を超えた二つの創造、モーツァルトの音楽と『百科全書』。一八世紀に交差する二つの足跡をたどり、精密な読みをとおして創造的な跳躍の秘密に迫る。
一つは、時代を突き抜ける、哀しみの透明な調べにおいて、一つは、世界と量りあう、知の巨大な集積において……どちらも因果の物語や進歩の観念、つまり歴史叙述からこぼれ落ちる次元を開いてくれる。いま・ここに徹することで現れる異次元の眺望、音楽と論理の先端で、「世界図絵」を探る。
序 章 「むすぶ」ことと「ほどく」こと
? ディドロ読み歩き ? モーツァルトのいる風景
第一章 不在についての考察 第一章 文学に見る18世紀
第二章 ソフィー・ヴォラン書翰を読む 第二章 怪物的神童とパリ
第三章 ディドロの『ラ・カルリエール夫人』を読む 第三章 喪失と自由
第四章 ふたつの国内旅行 第四章 国王さまざま
第五章 『ラモーの甥』の昔と今 第五章 奇人と天才の話
第六章 『ラモーの甥』の末裔たち 終 章 「いたみ」と
「かなしみ」のトポス
鷲見洋一[スミ ヨウイチ]
著・文・その他
内容説明
知られざる生の深みへ。モーツァルトとディドロ、音楽と書翰・対話に表現された、近代的な孤の天国と地獄。そして、時代を超える二つの創造、“イ短調ピアノ・ソナタ”と『百科全書』。名づけようのない哀しみと、知の巨大な集積の企てとが交叉する地点に、近代の始原と極北とをとらえる。半世紀をかけた一八世紀研究の結晶。
目次
「むすぶ」ことと「ほどく」こと―我流の勉強論
1 ディドロ読み歩き(不在についての考察―脅迫状、恋愛小説、そして恋文へ;ソフィー・ヴォラン書翰を読む―一七六二年の場合;ディドロの『ラ・カルリエール夫人』を読む;二つの国内旅行―ディドロとメネトラの紀行文;『ラモーの甥』の昔と今―博論異聞;『ラモーの甥』の末裔たち;モーツァルトからディドロまで―即興論の資格から;ディドロはいかに読まれてきたか)
2 モーツァルトのいる風景(文学に見る一八世紀;怪物的神童とパリ―一七六三‐六四年の滞在;喪失と自由―一七七八年、パリ;国王さまざま―一七九一年の周辺;奇人と天才の話―ヨーロッパ世紀末のモーツァルト)
「いたみ」と「かなしみ」のトポス
著者等紹介
鷲見洋一[スミヨウイチ]
1941年生まれ。専攻、18世紀フランス文学・思想・歴史。慶應義塾大学大学院博士課程修了。モンペリエ市ポール・ヴァレリー大学で文学博士号取得。慶應義塾大学文学部教授。同大学アート・センター所長、中部大学人文学部教授を経て、慶應義塾大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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