自由貿易という幻想 - リストとケインズから「保護貿易」を再考する

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自由貿易という幻想 - リストとケインズから「保護貿易」を再考する

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  • サイズ B6判/ページ数 267p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784894348288
  • NDC分類 678.11
  • Cコード C0030

出版社内容情報

TPP参加という愚策。自由貿易は、デフレを招く。

リスト、ケインズが構想した「保護貿易」とは何か?
自由貿易による世界規模の需要縮小こそ、世界経済危機=デフレ不況の真の原因だ。 したがって、さらなる貿易自由化は、いっそうの需要不足・供給過剰を招き、デフレを さらに悪化させるだけである。「自由貿易」と「保護貿易」についての誤った通念を改 めることこそ、経済危機からの脱却の第一歩である。


【目次】


はじめに

第 I 部 保護貿易とは何か ―― フリードリッヒ・リストから考える

1 フリードリッヒ・リストの経済学批判
E・トッド
(石崎晴己訳)
3つの世界の市民 / 経済主義に立ち向かう経済学者 / プラグマティズムと節度 /
「国民」 の存在とその輪郭の不明確さ / 現実主義と暴力 / リストとケインズ /
歴史の中の経済


2 政治経済学と世界主義経済学
F・リスト
―― 『経済学の国民的体系』 第11章 ――
(小林昇訳)
アダム・スミス学派の誤謬 ―― 国民国家と政治経済学の否定 / 「永久平和」 という
虚構的前提 / 政治統合と経済統合の時間的順序 / 生産諸力の世界主義的な傾向 /
生産諸力を呼び込むための保護主義


3 「ホモ・エコノミクス (経済人)」 とは何か 〈インタビュー〉
E・トッド
(石崎晴己訳)
子供を育てるのは非生産である / 人類の普遍性と多様性 / フリードリッヒ・リスト
について / 保護主義とフランスの政治状況


第 II 部 自由貿易と保護貿易の歴史

4 保護主義と国際自由主義
D・トッド
―― その誕生と普及 1789-1914 ――
(石崎晴己訳)
保護主義の創出 / 経済的ナショナリズムの国境横断的普及 / フリードリッヒ・リスト /
ヘンリー・キャレイ / 結 論


5 ケインズの貿易観の変遷
松川周二
―― 論説 「国家的自給」 をどう読むか ――

ケインズの現実主義 / 1920年代の自由貿易擁護論 / 1930年の保護貿易擁護論 /
金本位制離脱後の保護貿易批判論 / 1933年の論説 「国家的自給」


第 III 部 自由貿易こそ経済危機の原因

6 賃金デフレこそ世界経済危機の根本原因
J-L・グレオ
―― ヨーロッパ保護貿易プロジェクト ――
(坂口明義訳)
株主至上主義と賃金デフレ / 家計と政府の過剰債務 ―― 労働の再評価以外
に道はない / ヨーロッパ保護貿易プロジェクト / 自由貿易と保護貿易をめぐるQ&A


7 リベラルな保護主義に向けて
中野剛志
―― 「市場」 を規定する政治 ――

関税からアーキテクチャへ / 国家による自由民主主義の防衛


8 統計の人為性による自由貿易のイデオロギー化
J・サピール
―― 『脱グローバリゼーション』 第1章 ――
(井村由紀訳)
1980―1990年代の自由貿易の波 / GDPの増大=富の増大か? / 環境破壊と
グローバル化の隠れたコスト / 市場のグローバル化で得をするのは誰か? /
タイムラグと競争現象 / グローバル化の中での国内政策への回帰 / 理性に
基づく適度な保護主義のために


9 自由競争教という現代の狂気
西部邁
交換における 「力」 という神秘 / 市場活力という戯言 / イノヴェーションという魔語 /
価格の不安定、 市場の不成立 / デマゴギーによるデモクラシー


10 「自由貿易」 とアメリカン・システムの終焉
関曠野
[自由貿易か保護主義か」 ではない / 自由貿易論の出自と第二次大戦の原因 /
ブレトン= ウッズ体制とは何か / ニクソン・ショックと金融化 / グローバリゼーション
と自由貿易 / 貿易か自給か / 追記 ―― 三つの作り話


11 自由貿易と世界経済危機のメカニズム 〈インタビュー〉
E・トッド


12 自由貿易と民主主義 〈インタビュー〉
―― 経済と政治の一致の必要性 ――
E・トッド


第 IV 部 TPP参加という愚策

13 「環」 (Trans-) という概念から考えるTPP問題
太田昌国
―― 「環日本海」 と 「環太平洋」 ――

「環日本海」 / 「環太平洋」 の歴史的文脈 ―― 「黒船」 の意味 / TPPの歴史的
文脈 ―― 中南米での教訓 / 対米追従の歴史的文脈 ―― 「環日本海」 と 「環
太平洋」 / ナショナリズムによらないTPP批判を


14 自由貿易と農業・環境問題
関良基
―― マルサスから宇沢弘文まで ――

マルサスと食料安全保障 / 農産物の価格弾力性 / グレーアムの収穫逓増理論 /
環境経済学と外部不経済 / 宇沢弘文と社会的共通資本


15 第一次産業を消滅させて本当によいのか?
山下惣一
―― TPP問題の核心 ――

国家の危機、 国民の無関心 / TPPの当初の目的と米国参加後の変容 /
20年前の農業叩き / 第一次産業の崩壊=国土の崩壊


16 TPPは日本にふさわしい地域協定ではない 〈インタビュー〉
E・トッド

執筆者・訳者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

17
保護貿易と自由貿易の何が大事で何が悪いか様々な論者が解説。そして、経済だけでは計りきれない功罪があり、TPPについて特に触れている。グローバル化や自由貿易協定の前に、それに耐えうる強靭な社会を作り上げなければならないと痛感した。2016/05/18

好奇心の横断歩道を渡る!

4
すごい。絶対もう一度読み直すことにする。他では滅多に読めない着眼点が多い。章ごとに違う人が書いてるから、たまに一貫性がなかったり。7,8章が特にすごいかな。///主流派経済学の学派が、ことごとく自由貿易狂なのは、アダム・スミスの頃から、「政治的に世界が統一されていて、不確実な社会変化(戦争とか災害とか技術革新の地域的な偏りとか)が起こりえない」という前提を持っていたから。グローバリズムと新自由主義の相性が良いのではない。新自由主義は最初から、政治的に均一になった世界を前提条件にしたイデオロギーだった。2021/11/18

スーさん

4
フランスの人類学者であるエマニュエル・トッドを代表とした、国内外の識者らによる反TPP・反自由貿易の論集である。TPP問題から、より大きな「自由貿易」そのものの問題を論じる。その問題とは、「自由貿易が世界的なデフレ圧力になっている」というものである。これは、「安価な輸入品で物価が下落してもそれは相対価格であり、一般物価には影響を与えない」とする、既存の経済学そのものに対しての挑戦でもある。その当然の帰結として、本書は「保護貿易」の再考を読者に促す。「自由貿易・保護貿易」再考の、知的営みの足がかり的一冊だ。2012/08/24

壱萬弐仟縁

3
利用率3%の図書館から借りた。そもそも自給率100%以上ないと、余剰がないので、取引する意味がないのではないかと思う。日本は100%を大きく下回るのに、さらに自由貿易、無関税の道を選べば、自分たちの生産力が漸減するのは見えている。既に貿易赤字であることも大きいが、さらに赤字を増やすことになってしまいかねない。TPPの本質は、日米の全面的貿易戦争(関曠野209ページ)とのこと。日米安保、米軍基地が絡んでくる、政治経済問題である。アメリカは訴訟して勝利し、賠償金で儲けようとも画策しているだから、反対か慎重に。2012/11/22

好奇心の横断歩道を渡る!

2
7章と8章が特に良い。/市場はそれを支える制度に自身の性質を依存していて、政治なしには成立しえない。/政治的な事由が意味あるものになるためには、多元的な価値観を持つ多様な社会の存在が前提であり、保守主義は多様な社会を維持するためにもつかわれる。多様性を破壊し、金銭的価値を唯一の価値観とする自由貿易の推進は、反自由主義的。2021/11/25

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