内容説明
第一次大戦後、アメリカで「排日移民法」が制定されたとき、「日本の立場」を全米で真摯に訴え、聴衆の心を揺さぶった男。日本における「広報外交」の先駆者、初の評伝。
目次
序章 いま、なぜ鶴見祐輔なのか
第1章 発信力に貫かれた鶴見の生涯
第2章 広報外交の旗手として羽ばたく前に
第3章 アメリカを舞台に花ひらいた講演活動
第4章 国際会議を舞台に活躍
第5章 苦闘の日々―日中戦争から日米開戦まで
第6章 日本の再生と世界平和をめざして―戦後の活動
終章 鶴見の活動が現代に語りかけること
著者等紹介
上品和馬[ウエシナカズマ]
1957年京都市生まれ。早稲田大学「太平洋問題調査会」研究所客員研究員。専門分野は、国際関係学、国際交流、外交史。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了。2010年、博士号取得(国際関係)。(財)京都市国際交流協会、(財)国際文化交流推進協会、(独)国際交流基金において、多様な国際交流事業の企画・運営に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽん教授(非実在系)
3
鶴見俊輔は父祐輔のことを帝国主義に手を貸してしまった愚かな自由主義者としての面で基本考えているが、この本ではパブリック・ディプロマシーの先駆者としての側面に光を与えている。鶴見祐輔の戦略、手法、話術、コネと何れも一流の技と並みならぬ努力で勝ち取ってきたものであるが、こういった広報外交を行えるような人材が伝統的に我が国に足りないという事情は戦前から変わっていない。戦前から嘘とねつ造さえ織り交ぜてくる中国の猛烈なプロパガンダ工作の前に、現代でも負けてしまうのだろうか、と思わずにはいられない。2017/01/21