感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やまやま
9
これは自伝ではないと力説するほどに自分史ぶりが伺えるのですが、界の闘争を社会の一つの支配原理とされたブルデューとしては、この自己分析が自分を攻撃する材料に使われることを予感して、「自伝ではない」と述べたというのはよくわかる一方、出来過ぎ感もあります。自由な知識人というサルトルの呼びかけは「驚嘆すべき善意と無邪気の権化」であることを感じ、界を理解した著者には複雑な気持ちが浮かぶことは自然でしょう。アルジェリアでの兵役を、士官としてではなく遂行する若き著者の傾きは、現場主義の意義を改めて感じます。2021/01/04
ぽん教授(非実在系)
3
自叙伝としての機能「も」持つ、自己を社会学分析してみたもの、という狙いの下に死にかけてる中書いた絶筆でもある。狙い通りに完全に社会学出来てるわけではないような印象を与えるし、実際そこを突かれて(=単なる自叙伝として扱われ)フランス国内では左翼から「ブルデューは田舎者だと学生時代から馬鹿にされてきたルサンチマンで生きてきた主観的な人間だ!」という誹謗中傷を死後に受けている。死人に口なし、言いたい放題だ。一方で師匠アロンへの複雑な気持ちなど自叙伝らしさがあるから生々しい魅力があるように自分は思うのだ。2016/12/21
Yukako Uehara
2
批判も少なくない気がするけど、あんな長々とディスタンクシオンを書いた著者が自分自身を分析する際、何を思ったのか。かなり手短かに書いている気もするけど、編集の段階でどれだけ削ったんだろう。社会学系の本を読んでて、こんなにワクワクした事は一度もなかった。ブルデューを勧めてくれた先生に感謝。2014/12/23
shusaw
1
心理分析、とくに主観性の強い内観の手法にとって代わるべく、ハビトゥスや界といった概念によって確立した行為の社会学に依拠した社会分析を著者自身に適用した著作。構成として、ブルデュー自身のハビトゥスを形成した界である高等師範学校の哲学教育、アルジェリアで着手した人類学のフィールドワーク、フランスへの帰還後に行った社会学への「改宗」などが語られ、最後に彼の幼年期が明かされる。こうした自己分析の企てそのものが、ブルデューが意図した「社会学の社会学」、つまり対象を客体化する主体を客体化する再帰的分析に結びついている2018/08/03
my_you
1
ブルデュー自身のディスタンクシオン。2014/09/26