感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
13
劉暁波さんが病の床にあると聞き、5年ぶりに再読。六四天安門事件の真相究明を求める文章、中国の「民間」に関する論考、そして中国に真の立憲政治の確立を求める08憲章とそれに関する文章をまとめたもの。5年ぶりに読んでもその文章の持つ美しさ、真摯さは全く色あせていない。と言うよりもむしろそのことは中国の民主化がほとんど進んでいないことの表れでもある。そして彼の文章は中国に対してだけでなく、嘘がまかり通り、格差と分断が広がる世界への警告でもあると言い得るだろう。2017/07/11
Francis
1
2010年ノーベル平和賞を受賞し、今なお獄中にある中国民主化運動の活動家の文章をまとめたもの。筆者の文章からは祖国の民主化と民衆の解放を求める強い意志がひしひしと伝わってくる。中国政府が今なお天安門事件の真相を隠蔽し、国民の権利を認めようとしない姿勢は福島原発事故の真相を明らかにせず、脱原発を求める国民の声に耳を貸そうとしない現在の日本政府の姿勢に通じるものがあると感じた。中国民主化運動とは我が国の民主主義の確立にも通じる問題なのである。2012/07/15
マウンテンゴリラ
1
中国という国は、共産党による一党独裁体制を維持したまま経済及び軍事大国化を成し遂げてしまった国であるだけに、最も民主化の道が困難な国であると漠然と感じていたが、本書によってその認識を改める必要があると感じさせられた。中国における民主化の進歩は、遅々とした歩みではあるが、劉暁波氏をはじめとする国内における民主化運動家の弛まぬ努力と、諸外国による支援の賜物であると感じられるだけに、わが日本の弱腰の態度には忸怩たる思いを抱かざるを得ず、もっと国を挙げて支援していかなければならないという思いを強くした。2011/04/11
hornistyf
1
日本人には礼節を重んじて、意見表明を控える「沈黙は金、雄弁は銀」の民族性があり、これは尊重する。その上でのことだが、沈黙が「金」となるのは、肝心のときに発言するからではないだろうか。沈黙したままでは、誰も見向きはしない。(p.308)2011/04/10
メルセ・ひすい
1
※日本人で当時、惜しむことなく孫文・魯迅に命まで捧げてくれた志士さえいたが、今は何事につけ巻き込まれないように逃げている。」「゛友好゛の歴史というムード作り、それに浸ってお互いに良心を曇らせ、゛臭いものに蓋゛とそれぞれの暗部に沈黙している。つまり、天安門を取り上げないから、戦争責任も深く追求しないという共謀の関係だ。」同胞からこのような発言を聞くたびに、中国と日本の間でマージナルな立場にある私は考えさせられる。・・現共産政権の経済崩壊がネック・ヘソだ! 解放軍幹部が金欠になれば即崩壊する。 2010/02/20