内容説明
24歳の私ははじめて自分の脚と頭を使って旅をしていた。電気のないその島は当時の私にとってとくべつな天国みたいだった。帰ってきてもその天国感はまったく薄れず、この25年のあいだ、ずーっととくべつな天国として、私の内にある。―「緑と旅と人生の仕組み」より。珠玉のエッセイ集。
目次
まるで出番なし
興味と縁
トイレの日本化はあるか
時代も私も変わっていく
記憶の住まい
プノンペン発、シアヌークビルいき
思いというより、願い
私的「はじめに言葉ありき」
花を見上げる
「すばらしい」二種
もうひとつの世界
これがあの…
夏の家族旅行
二日間の旅
夏休みと理想郷
旅行者のさみしさ
面倒は不幸か
再訪の旅
再訪の聖地
縁と愛
少しだけ片思い
縁と旅と人生の仕組み
記憶の真偽
私がいるはずのない場所
大好きな町に用がある
地図の話
小豆島と私
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。2005年『対岸の彼女』で直木賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2012年『紙の月』で柴田錬三郎賞など受賞著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
199
角田光代は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。雑誌SWITCHに連載された旅のエッセイ、他のエッセイで読んだ内容もありましたが、愉しめました。著者曰く「空想も誇張も含めて、ひとりの心と体と感情ぜんぶを総動員して動くことが、旅なのだなあ」とのことです。⇒納得。2019/04/14
ぶち
100
角田さんは、今では40カ国を超える国を訪れているとか。すごいなぁ、と憧れとともに感心します。角田さんの足元にもおよびませんが、たいへん共感したお話しもいくつかありました。角田さん曰く、好きではない街でも縁があったり、相性が合うことがあると。これは、私も何度か感じた感覚です。逆に、好きな街でも何故か相性が悪く、何度訪れても悲惨な思いをする旅もありました。もう一つ共感したのは、「その街に用がある」という点です。観光ではなく、用事があってその街を訪れることは、地に足がついているような特別な感覚で過ごせるのです。2019/07/09
修一郎
98
「紙の月」のチェンマイだったり「八日目の蝉」の小豆島だったり,角田さんが描く旅のシーンはとても印象的だ。きっと自分が旅をして感じたイメージをきちんと文章で伝えられているからだ。若いころのバックパッカーの旅に加えて作家になってからは仕事で旅をしてはエッセイを書くという生活はとてもうらやましい。旅エッセイとしてはフツー。新しい発見が書いてあるわけじゃない。角田さん,危なくて騒がしい所も結構行っている気がするけど,パンガン島ではじけたりなんてことは,もうやらないのかなぁ。。。2019/05/19
みかん🍊
92
20代の頃から世界各国を旅してきた角田さんの旅エッセイ、作家の人は温泉旅館で執筆というイメージだったのでバックパッカーも経験してきたというのには驚きです、ボクシングをしていたり、世界中をひたすら歩きまくったりとかなり野性的な旅人、海外が多いので土地勘がなく空気感分からないのが残念ですが行ってみたいと憧れます。2019/08/04
のんき
87
角田さんの旅のエッセイ。とても読みやすく笑わせてくれたり面白かったです。著者が、海の中や底を見る場面が印象に残りましたあ。上の方から見ると、とても綺麗だそう。魚とかも、食べたり食べられたり、醜いとこも、汚いとこもあるけど、それでも綺麗って!で、鳥たちも上から人間を見たら、やっぱり綺麗なんだろうなあ。宇宙から地球を見ても、戦争してたり、汚いとこもあるけど、青く美しい!わたしも海底とか、海の中を覗いて見たくなりましたあ。きっと美しいんだろうな!2019/08/08