内容説明
お話の万華鏡をのぞいてみれば…著者と読者の「共謀」。代表作「転轍手」「驚異的なミリグラム」をはじめ、28の掌篇・短篇を収めた作品集。
著者等紹介
ホセ・アレオラ,フアン[ホセアレオラ,フアン] [Jos´e Arreola,Juan]
1918‐2001。メキシコ革命後の混乱期にあるハリスコ州、サポトランに生まれる。1926年に勃発したクリステロの反乱の影響で学校に通うことができなくなり、働きに出る。様々な職を経験しながら、文学や演劇への関心を強め、フアン・ルルフォらと親交を結び、雑誌を発行し、短編を発表するなどしていた。1945年、奨学金を得てパリに留学、演劇を学び、俳優も務めるものの、翌年帰国。出版社FCEにて校正者として働き、さらに編集や翻訳の経験をつむ。1949年に短篇集『さまざまな作り話』を発表する。自らが関わった文芸誌や叢書企画などで後進の作家たちに執筆の舞台を提供し、フエンテスやポニアトウスカ、パチェーコら次世代の作家を数多く育てた
安藤哲行[アンドウテツユキ]
1948年岐阜県生まれ。神戸市外国語大学外国語学研究科修士課程修了。摂南大学名誉教授。専攻はラテンアメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヘラジカ
29
ウルグアイ人作家の『狂人の船』から間もなく刊行された「創造するラテンアメリカ」シリーズ。今回はメキシコ人作家。ボルヘスのように衒学的で難解な作品から、カフカ的不条理劇、ヴォネガット風に心温まるドラマまで、あらゆる短編が収録されている。僅か170ページで28篇という量の多さから分かるように、一作一作は長くても10ページ程度の掌編集である。メインの2作の他は「サイ」「弾道学について」「悪魔との契約」が良い。そして一番共感できた特にお気に入りの作品が「評判」他愛のない善行の燻りのようなものを見事に表現している。2018/08/10
かわうそ
24
ラテンアメリカ発の奇妙な味系短篇集とあれば読まないわけにはいきますまい。作品のタイプはさまざまで超ツボにはまるものも理解が難しいものもあったけど面白かった。お気に入りは「転轍手」「弟子」「弾道学について」あたり。2018/10/18
ophiuchi
12
メキシコ人作家の小説を読むのは初めて。南米の作家たちとはまた違った味わいだった。2018/11/01
刳森伸一
3
寓意が計り難い寓話集といった感じか。語り口は軽妙というか少し軽くて親しみが湧くが、内容的にはどこか拒絶されているような近寄り難さがあって、そのギャップが癖になる。2019/07/14
ざじ
2
色んな噛み心地のする短編集 信仰にまつわる話とラストいきなり梯子を外されて途方に暮れる後味の話がいくつかあり好ましかった2020/04/06