内容説明
酷寒の大地と向き合い、渾身の刻刀で魂の衝動を描ききった。日本の絵本の常識を覆した、ドキュメンタリー手法の木版画絵本。
目次
第1部 作品編(木版画ドキュメンタリー絵本;初めて描かれた「アイヌの物語」;木版画の「幻想シリーズ」;北海渡道に生きる動物たち)
第2部 木版画家手島圭三郎とともに(手仕事を覗く―木版画絵本ができるまで;「オホーツク少年」の板散華;手島圭三郎・自作のプロローグ)
特別寄稿 手島圭三郎さんと東川町「大雪山ライブラリー」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
54
ご感想に惹かれて。ちょっと遠くの図書館から借りてみた。手島木版絵本作品36作がだ~っと並ぶ景色を圧巻と言わずしてなんと言おう。手島さんの絵本は定番中の定番なので年中目に入る。面展示に映えるから季節に合わせて並べたりもする。でも、一冊の本の中にギューッと並べたらどんな感じか考えてもみなかった。北の大地の陸と空。短い春と長い冬。植物に岩土、淡水海水。飛ぶもの、駆けるもの、泳ぐもの。すべてがあるのに人だけが居ない。たぶんヒトは脆くて我儘すぎるので「彼ら」の近くにようようたどり着きそっと眺める事で幸せを得る。良書2022/10/19
けんとまん1007
49
版画でしか伝わらないことはあると思う。さらに、その題材から感じるのは、生命にたいする眼差しのありかた。自然、大地、生命への畏敬の念。果たして、自分はどうなのだろう・・・と考える。2022/07/29
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
42
大好きな手島さんの木版画絵本。この本では手島さんの作品が紹介されているので、これを読むだけでも満足します。サラッと読みましたが、手元に置いていつでもじっくり読みたい。2018/06/14
booklight
32
【読友本】制作過程や本人コメントを読めたのがよかった。美術教師20年、やっと自分の画風を見つけて独立。今でも教師の時の後遺症、夏休みに作品を仕上げる、が残っているのが面白い。着想、ラフスケッチ、原寸大下書き、骨版、試し刷り、本刷りと非常に手間をかけて作っている。これらを自宅で一人でコツコツとやっている。やはり人を選ぶ仕事だ。元々は画家を目指していて、版画、版画絵本と変わってきた。西洋画の影響を受けつつ、北海道の自然を版画で描く、と自分で決めるまでの紆余曲折を感じた。でも天職とはこういうことかとも思う。2022/07/10
る*る*る
24
確かに、シマフクロウ=テシマケイザブロウ!彼の絵本は、木版画ドキュメンタリー絵本!!彼の書く物語は、彼を絵本の世界に導いた編集者・松居友が依頼した言葉より誕生。『子どもの本だから子育てのシーンだけは入れてください。あとは幼児〜お年寄りまで見てもらえる新しい絵本にしたいので、自分の持ち味を崩さずに力を発揮して自由に描いてください。』どの作品にもこの言葉が生きている✴︎原画を見てみたい!2017/08/15