内容説明
強迫観念は病気ではない。したがって薬はいらない。ノイローゼは自分で治せる。本との出会いがきっかけ。禅と森田療法の親和性。受験勉強を治療に応用。何か「不安だな」と思ったときに読む本。
著者等紹介
佐藤条二[サトウジョウジ]
十代前半より強度のノイローゼ(強迫神経症)におちいり、八年間の苦悩と煩悶の果て自殺の瀬戸際まで追いつめられた。その後、森田療法と禅の哲学によってノイローゼを克服して立ち直り、某大学を中退して東大入試に挑戦し、文科一類に合格。東大法学部卒業後、企業勤務を経て、大学教授。国際政治学者として著書の執筆、翻訳、講演、テレビ出演等、多彩な活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メタボン
27
☆☆☆ 強迫神経症を伴う中、いかに東大受験に挑み、東大合格とともに、それを克服したかという体験記。体験記の部分は良く理解できたが、肝心の強迫神経症を克服する糧となった森田療法については、著作の引用が断片的にされるぐらいで、最後まで腑に落ちなかった。個人的には、芥川龍之介の数々の名作や、漱石の「こころ」を駄作と言い切る傲慢さが鼻についてならなかった。2018/10/21
aloha0307
10
答案用紙を提出後に、「名前を書き忘れた?」。外出時、「火元消したっけ?」そんな不安感は誰にもある経験です。この不安感に執拗に囚われてしまい日常生活に支障が出るケースもある。この強迫神経症(漱石、芥川、乱歩 文豪もこの症状という)に陥った著者が克服する迄の青年期を綴った。ある療法の精神「不安をあるがまま受け入れる」ことで苦悩を乗り越え、東大を21才で再受験して合格した。受験勉強で描写されている猛烈ぶりはすごい。苦難を宿命と受け入れ、前に進む姿に、生きることはいつも全力&真摯であるべきだと教えてくれている。 2015/05/01
NT
2
強迫観念を克服した筆者の体験談が中心。強迫観念の客観的な定義や現代医療の一般的な対処法への言及がなかったので主観が強いように感じた。筆者の症状についても具体性に乏しく,同じ悩みがあるような人じゃないとわかりにくいように感じた。文章が固いながらも明快で読みやすいのはGOOD。2014/07/31
鯵マークスリー
1
森田療法をやっても「人生素晴らしい」とはならないと思う。なったとしたらそれはそれで新たな思い込みではないかと。生きることは辛い。でも良し悪しじゃなくて、目前のことを淡々と行っていくことが生きるってことだと教えるのが森田療法かと個人的な考え。 内容は興味深い。ただできれば症状や心境の変化など具体的に知りたかった。不眠恐怖と森田療法や禅の思想がどう克服に繋がったかやや不明瞭。 文章は張りつめていて著者の気質が窺える。治れば晴々とした気持ちに当然なるだろうが、「そんなに肩肘張らなくても」と感じるのはなぜか。2020/09/07