内容説明
すべての職業作家が焦がれる直木賞。その第1回から第149回までの候補作と受賞作、選考過程に関わる資料を丹念に調査し、書き下ろした本邦初の大労作ノンフィクション。
目次
第1章 純文芸との因縁―一九三五年~一九四四年
第2章 通俗性への反発―一九四五年~一九五八年
第3章 同人誌への期待―一九五八年~一九六五年
第4章 中間小説の繁栄―一九六六年~一九七七年
第5章 マスコミの狂乱―一九七八年~一九八八年
第6章 ミステリーの隆盛―一九八九年~一九九九年
第7章 出版不況の風圧―一九九九年~二〇一三年
著者等紹介
川口則弘[カワグチノリヒロ]
直木賞研究家。1972年東京都生まれ。筑波大学比較文化学類卒。2000年よりホームページ『直木賞のすべて』を運営。2008年HP内にサブコンテンツとして『芥川賞のすべて・のようなもの』を開設(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山田太郎
50
めったぎりで興味もったクチなんで、あんまり詳しくないので読んでみた。なんかこの作者のスタンス面白いね。好きなのかからかってるのかよくわかんないけど、なんとなく愛は感じます。しかし、審査する人も若手だと重みがないし年寄りだと新しさに欠けるのかなやっぱり。2014/03/11
アマニョッキ
39
読友さんのレビューより気になっていた本。昔なにかのクイズ番組で芥川賞は短編~中編、直木賞は長編小説に与えられるといっていたのを信じていましたが、全然違うやん!初期の頃は新人発掘路線、そこから大御所にあげましょ路線に走ったり、時代に流されたり、予想以上にぶれぶれな選考基準。そして選考委員の個人的趣向もけっこうはさまれているのね。まぁ、人が選ぶものだから仕方ないのか。宮部みゆきから東野圭吾へのバトンや、横山秀夫の有名な半落ち事件など、読んでいて本当に飽きなかった。引き続き芥川賞物語いきます。2017/05/24
Fondsaule
28
★★★★★ 『みなさま、直木賞をいただいてしまったのであります。このわたしが。でも、SF作品ではなかったのであります。それが残念だけど、もうわたしはもらっちゃったからしょうがないんです。』半村良が受賞したときにSFマガジンに投稿した文章だ。作家が選ぶ。選定の明確な基準なんてない。だからブレまくりの直木賞。 めちゃめちゃ面白い。 決別宣言をする作家。「勉強のし直しだな。」と言われ奮起した作家。 ウェブサイト”直木賞のすべて”を見たらこの本読まずにはいられないでしょう。2017/02/05
いくら
28
作品で選ぶのか、作家の実績で選ぶのか。そもそもの基準もなく始まった選考。その時々のルールによって受賞を逃した作品があまりにも多いことが残念。されど直木賞。知ってる作品はここ十数年の受賞作品に偏ってたけど、面白かった。2014/03/13
遊々亭おさる
24
日本で最高峰の文学賞のひとつとして君臨する直木賞。しかし、その受賞作の多くは時代の片隅に追いやられてしまい、後世に語り継がれる作品はそう多くはない。選考委員や作者に出版社、そしてメディアを含む読者の幻想がこの賞に権威を与え続けた歴史がよく分かる本でした。菊池寛の肝いりで発足してから今日に至るまで、直木賞は小説界の動向を左右するような影響力を発揮できていない。文学か娯楽か。作家で選ぶか作品で選ぶか。軸を持たないが故に巻き起こる悲喜劇の数々。根底にあるのは、純文学への劣等感か。2014/03/02