内容説明
凶暴な行動原理「国民主権」、暴走し無限増殖する「人権」、矛盾だらけの「平和主義」。その怪しい氏素性と欺瞞に満ちた運用を徹底解剖!
目次
第1章 ホントは怖い国民主権(中学校の「公民」教科書を読む;「平和」「人権」「国民主権」は素晴らしいものだという刷り込み ほか)
第2章 基本的人権の正体(日本国憲法で最重視されている「人権」;自然権が人権の本来の意味 ほか)
第3章 矛盾だらけの平和主義(世界平和の構築に必要なものは?;平和よりも「人権」を重要視する教科書 ほか)
付章 あとがきにかえて(憲法三大原則の正体;恐怖の人権思想 ほか)
著者等紹介
長谷川三千子[ハセガワミチコ]
1946年、東京都生まれ。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程中退。東京大学文学部助手などを経て、埼玉大学教授。2011年退官、同大学名誉教授。1996年、『バベルの謎』(中央公論新社)により、和辻哲郎文化賞受賞
倉山満[クラヤマミツル]
1973年、香川県生まれ。憲政史研究者。1996年、中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を努め、同大学で日本国憲法を教え現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イカカイガカ
11
「国民主権」「基本的人権」が生み出された歴史的背景のそら恐ろしさが分かる本。ヨーロッパでは、それらの「フィクション」をどうしても発明しなければならない理由があったということだ。日本は古事記以来、そんなものを全く必要としない国柄だったわけで、歴史的に見ても主権の思想はいらないものなのである。日本国憲法を70年にもわたり押し頂いているバカバカしさ。この悔しさをどこにぶつけるべきなのか。2014/02/19
Y田
10
国民主権、基本的人権、平和主義について、これらは無条件に良いものというイメージがあるが「無条件」にとは必ずしも言えない事を、この概念が成立する歴史を元に解説する。主権は多数派の決定によって支配者を殺していいという革命の思想からきている事、人権は弱肉強食より酷い無秩序状態を自然と考える人工的なものである事など、一つ一つの事項としては知っている事なのだが、事柄を繋げ直して意味を考えるきっかけに出来たと思う。当然だが民主主義には弱点はある。考えて行動する人でありたい。2019/07/13
ミナ
10
今まで表面的だったなぁとつくづく思わされた。そもそものところを押さえないで議論したって良い案なんて出てこない。きちんとした有識者から学び、議論を深め改正案を出して欲しいなぁ。そして、「国民主権」は何が起ころうとも国民のせいになるのだから、せめてちゃんとした人を代表とできるよう教育がしっかりしないといけない。2018/06/17
みじんこ
9
日本国憲法で語られる三大原則(特に基本的人権の尊重)の概念は欧米ではいかに誕生し、日本ではいかに矛盾したものになっているかが語られる。確かに拉致被害者の人権が損なわれており、彼らの人権を回復できていない時点で現実に全く合致していないことは明らかである。また、前述した欧米的価値観による国民主権等の概念は、日本のそれまでの歴史に照らし合わせれば元から不要である、というのも初めて気づかされた。本書は所々哲学的でもあり、頭の中で整理して読み進めねばならなかったが、短い本ながらも内容がしっかり詰め込まれている。2015/02/03
Sally
9
日本はそもそも「人権」という言葉の、その「権利」という言葉がしゃしゃり出てくる余地のない国家体制。それなのに日本国憲法は人権のハイパーインフレに。確かにみんなが欧米のような義務のない権利を主張したら混乱します。そして「国民主権」、これは特に怖く、誰にも責任がないということ。そしてヨーロッパ生まれのそれは、「支配者を妥当すべし」というイデオロギーが常に貼りついている。責任者がはっきりしている明治憲法の方がずっとまともな憲法だと考えさせられた。2014/04/23