内容説明
消費税がなぜ悪税になったのかを徹底分析。英国も米国も租税が原因で内乱になる。歴史的事実から何を学ぶべきか検証す。
目次
まえがき 消費税で日本は死ぬ
1章 消費税はネコババ税だった―真っ黒に汚れたデモクラシーの血液
2章 税制改革の致命的後遺症―日本国憲法は死んだ
3章 「代表なき処に課税なし」とは何か―自民党税調は関東軍だった
4章 近代国家では主権者は神である―デモクラシーと独裁制は必ずしも矛盾しない
5章 税制改革と教育改革の恐るべき類似―日本に掛けられたもう一つの呪い
著者等紹介
小室直樹[コムロナオキ]
政治学者、経済学者。昭和7(1932)年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒業。大阪大学大学院経済学研究科、東京大学大学院法学政治学研究科修了。東京大学法学博士。この間、フルブライト留学生としてアメリカに留学し、ミシガン大学大学院でスーツ博士に計量経済学を学ぶ。マサチューセッツ工科大学大学院でサムエルソン博士(1970年ノーベル賞)からPh.D Economicsを授与さる。また、同大学院ではソロー博士(1987年ノーベル賞)に理論経済学を、ハーバード大学大学院ではアロー博士(1972年ノーベル賞)とクープマンス博士(1975年ノーベル賞)に理論経済学を、スキナー博士に心理学を、パースンズ博士に社会学を、ホマンズ教授に社会心理学を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カインズ
2
【議論無きところに民主主義無し】国民に対して詳しい説明がなされず議論もされぬまま導入され、伝票方式や納税者番号を採用しないことで不公平を生む消費税について、課税と民主主義との関係を絡めつつ軽妙な口調で論じる。清教徒革命の裏に税制改革があったことは、知らなかった。税という重大事項について、国民の反対を恐れ詳しい説明をしない政治家に呆れるばかりである。2012/04/03
aki
1
「20世紀は元気があったなあ」という感じ。消費税を導入しようとしたら、中小企業を中心に「消費税反対」の声が澎湃としてわき起こった。結局、消費税導入は数度にわたって失敗している。21世紀には、そんな元気はない。この作品の中で小室は「消費税の核心はインボイス制度」といっているが、そのインボイス制度は2023年から導入される。別段、導入反対のムーブメントは起こらなかった。日本人には何かに抗議するとか、反対運動を起こすといったエネルギーは失われてしまった。飼いならされた羊、いや豚だね。2022/12/04
aki
1
カッパの『消費税の呪い』のタイトルを変えたものかな。副題の「自主課税なき処にデモクラシーなし」が本書の結論。「税金は政府と国民のコミュニケーション」という視点がおもしろい。中曽根内閣で売上税を導入しようとした際の自民党税務調査会長・山中貞則の「政府税調を軽視しているのではない。無視しておる」は何度読んでも爆笑してしまう。確かに政府税調より自民党税調のほうが、はるかに力があった。ただし「素人は口を出すな」は民主主義ではない。素人が重要な意思決定に首を突っ込むのが民主主義だ。効率が悪くなるのはいたしかたない。2014/11/17
MIRACLE
0
自民党による1989年の消費税の導入が、日本における民主主義の発展にあたえた致命的な影響について論じた本。執筆当時の政治状況についての記述がおおく、この点についての予備知識が必要。現行の消費税が日本の税制に「裏口入学」で加わったことがよくわかった。とにかく、伝票方式の採用と、輸出戻し税への対策は急務。2016/09/01
capeta
0
公平こそ課税において最も大事なことである。 どうせ反対されるのであれば、きっちりと時間をかけて説明を尽くすべき。 そういった逃げの態度が安保法案でも出ているのではないのか。2015/08/23