感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
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戦前は反戦運動、戦後は成田空港反対運動に挺身した戸村一作についての文章のもつ衝撃力は彼のキリスト教信仰のゆえであり、信仰を貫けば国家権力の否定は当然で、逆に国家にすり寄る宗教はまがい物なのだろう。人間宣言にもかかわらず天皇制は依然として疑似宗教で、それを信じるのは勝手だが信じない自由も保障されるべき。それならば「国民の総意」というあいまいな文言も疑わしくなる。沖縄を訪れた皇太子に火炎瓶を投げたり、本書の執筆者たちのように天皇制を懐疑する人々が少なくない現実がある。論じることさえタブーなのだろうか。2022/02/20