目次
序論 世界を考える道具をつくろう
第1部 世界のとらえ方(自然と知識―環境をどうとらえるか?;技術と環境―人はどうやって世界をつくり、みずからをつくりだすのか;呪術と科学―私たちは世界といかにかかわっているのか;現実と異世界―「かもしれない」領域のフィールドワーク)
第2部 価値と秩序が生まれるとき(モノと芸術―人はなぜ美しさを感じるのか?;贈り物と負債―経済・政治・宗教の交わるところ;貨幣と信用―交換のしくみをつくりだす;国家とグローバリゼーション―国家のない社会を創造する;戦争と平和―人はなぜ戦うのか)
第3部 あらたな共同性へ(子どもと大人―私たちの来し方、行く先を見つめなおす;親族と名前―関係している状態をつくるもの;ケアと共同性―個人主義を超えて;市民社会と政治―牛もカラスもいる世界で)
著者等紹介
松村圭一郎[マツムラケイイチロウ]
岡山大学大学院社会文化科学研究科准教授。フィールドは、エチオピア、中東。研究テーマは、所有と分配、経済人類学
中川理[ナカガワオサム]
立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。フィールドは、フランス。研究テーマは、市場・国家・周縁性の民族誌
石井美保[イシイミホ]
京都大学人文科学研究所准教授。フィールドは、タンザニア、ガーナ、インド。研究テーマは、宗教実践、環境運動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
51
【始原へ1】シリーズ読書【人新世】の分岐で新たなシリーズを始めることとした。一つにはこの始原を探るというテーマは歴史学だけでなく文化人類学に多くの蓄積があるが、どうもこの学問は一筋縄ではいかないことが判ってきたからだ。手始めに最新の(2019年)の入門書の本書。13人の文化人類学者によるこの学問への道案内書だが、これがなかなか良く出来ている。■呪術、贈与、親族と言ったお馴染みのものから、自然、戦争、ケア、市民社会まで13のテーマについてそれぞれ文化人類学者がどう取り組んできたかの成果と課題が語られる。↓2021/01/09
おさむ
35
大学で、文化人類学の講義を受けるとき買わされる入門書みたい笑。呪術と科学の関係や贈与から始まる社会性、貨幣の誕生、グローバリゼーションで揺らぐ国民国家など、最近のトレンドは、案外文化人類学なのかなぁと感じる次第。世界思想社の本だから仕方ないけど、もう少し易しくして欲しいな。2019/12/11
ミライ
33
文化人類学を学び、教えている13人の執筆者による著書。「あたりまえと思っている」事から外へ出るための学問である文化人類学を通して、さまざまな「常識と思われている」ものに疑問を呈して深掘りし、他の側面から考えてみる手法を提唱する。テクノロジーの進化により、時間の流れがこれまでの何倍にも加速している現代にこそ学ぶべき学問。2019/04/19
Tenouji
29
単純に個人的興味の問題ですが、前半は食傷気味のトピック、でも「国家とグローバリゼーション」から俄然面白くなった。自分の興味が、今は、価値と秩序と共同体にあるのがよくわかった。人間は、「想像力」も利用するし、それが「暴力」であっても、恒常性を保とうとする生き物だということ、その恒常性の源泉が何か、ということを探る学問が文化人類学なんだなと納得。2019/06/12
たつなみそう
20
文化人類学の思考は面白い。自分が生きている現代という時代が、いかに奇妙で特異なものであるか、を考えさせられる。合理性や科学的であることが当然という思想も、資本主義社会のシステムが生み出している。当たり前を相対化し続ける力は、たぶんまわりの空気や同調圧力に抗するものだ。孤独を恐れず豊かに生きなさい、と叱咤されているすがすがしさがある。2019/06/06