出版社内容情報
軍事的暴力とはいったい何か。基地や兵器はどのような了解のうえに存在しているのか。またそれらは、どのような形で現れるのか。
肯定的であれ否定的であれ「軍」「戦争」「平和」といった言葉があふれ返る一方で、ヘイトスピーチや排外主義による日常的な他者への憎悪が拡大する現状を踏まえるとき、立ち止まり、軍事力や暴力に対して問いを立てることはきわめて重要である。軍事力による被害と痛みははかりきれず、また暴力は日常にも深く関わっているからである。
沖縄、基地、戦後復興、「慰安婦」問題、3・11、2015年の安保法制――暴力が表出する現場を〈痛み〉という感情から思索し、今日的な軍事的暴力の意味を考察する。
冨山 一郎[トミヤマ イチロウ]
著・文・その他/編集
鄭 柚鎮[チョ ユジン]
著・文・その他/編集
目次
ポストという「まだ見ぬ地平」へ―痛みをめぐる議論に着目して
第1部 軍事的暴力に関わる言葉(言葉の始まりについて;軍隊がある社会で凝視すべき身体の言葉―志願制への主張(韓国)と基地撤去論(沖縄/日本)をめぐる小考
軍事主義に抗する言葉―二〇一五年安保法案をめぐる政治空間を中心に ほか)
第2部 廃墟の予感(戦後復興を考える―鶴見俊輔の戦後;廃墟から紡ぐ絵と言葉―大田洋子がまなざす原爆ドーム;三月十一日から軍事的暴力を考える)
第3部 旅する痛み(「国民基金」をめぐる議論を再び考える―「支援者から当事者へ」という過程を中心に;抵抗運動と当事者性―基地引き取り運動をめぐって;痛みが消えるときをめぐって)
旅する痛み―新たな言葉の姿を求めて
著者等紹介
冨山一郎[トミヤマイチロウ]
1957年生まれ。同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授。専攻は沖縄近現代史
鄭柚鎮[チョンユジン]
1969年生まれ。同志社大学グローバル・スタディーズ研究科客員教員。専攻はジェンダー論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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