内容説明
より良き立法のために。立法の意義を原理的に問い直し、その哲学哲基盤を再構築、立法システムの規範的構想を提示する。
目次
立法学における“立法の哲学”の基底的位置
第1部 立法学の法哲学的基盤構築(立法理学としての立法学―現代民主政における立法システム再編と法哲学の再定位;規範的法実証主義の立法理論;功利主義者の立法理論;フェミニズム法理論における立法の復権)
第2部 立法の政治哲学と経済理論(政治的公共圏から見る立法―法の「作者」と「編者」;可謬主義と熟成主義の立法過程論;ハイエク立法理論の再検討―立法過程の政治哲学としての可能性;公共選択論と立法)
第3部 立法学の思想史的再考(フランス政治思想史から見た立法の意義;法典論争から市民的公共圏へ―立法と教養;ミル・代議制・中国;福澤諭吉の立法者像―帝国議会と統治の徳義)
著者等紹介
井上達夫[イノウエタツオ]
1954年生まれ。東京大学法学部卒、同大学助手、千葉大学法経学部助教授等を経て、東京大学大学院法学政治学研究科教授。法哲学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Haruka Fukuhara
3
日本の政治学者、法哲学者に建設的な議論構築に優れた人材はどれだけ存在するのか少し不安に思った。というのは政治状況がころころ変わった21世紀の日本において、政治が好転しても停滞しても常に文句を言うしか能がないように見えるからだ。批判のための批判ではなく改善のための批判をしていると言うならばもっと具体的なレベルに議論を落とし込む必要があるのではないか。法・政治分野が哲学と科学に分化した結果、高尚だが無意味な議論と実践的だがつまらない議論に二分してしまった印象。この本は前者に特化したものだろう。2017/02/06