内容説明
スペースコロニーというのはなかなか興味深いシステムである。それが宇宙空間にあるという点では天文学に関係する。その内部が典型的な回転流体力学系だという面からみれば物理学の実験場である。それが未だ実現していないという点からすればSFの領域に属するだろう。まあ、いわば、天文学と物理学とSFの“楽際”領域の研究対象といえる。スペースコロニーはこのようにきわめてユニークな位置にあるのだが、学際領域というポケットにあるため、その科学については語られることが少ない。筆者のそもそもの問題意識は、スペースコロニーの大気構造やコロニー内での気象などがどうなっているのだろうか、という素朴な疑問から始まっている。そして力学的現象や流体力学的現象を中心にスペースコロニーの科学を楽しんできた。そしてその結果、スペースコロニーを舞台として、天文学や物理学のさまざまな概念がSF的に展開できることがわかった。本書はそれらの結果をまとめたものである。
目次
準備編(人類の第2の故郷―スペースコロニー)
基礎編(コロニーのボール投げ―スペースコロニー内の運動;落ちるエレベーター―スペースコロニーの自由落下 ほか)
応用編(ラーマの海―スペースコロニーの海洋構造;ラーマの大気―スペースコロニーの成層圏 ほか)
発展編(円筒海をわたる波―スペースコロニーの波動1;円筒大気圏の波―スペースコロニーの波動2 ほか)