内容説明
ソロモンの暗い波涛に、北千島の濃霧に閉ざされた凍てつく波間に、米艦載機の跳梁する比島の多島海に―それぞれの乗員の思いを乗せたまま、悲劇の航跡を残した日本艦艇。海空戦の主役となった空母から特務艦艇にいたるまで、戦争の進展に伴いしだいに凄惨な様相を呈した海戦の幕切れを描いたノンフィクション。
目次
護送空母「雲鷹」
軽空母「千代田」
航空戦艦「日向」「伊勢」
潜水艦呂六一
潜水艦伊一
潜水艦伊二七
陸軍潜水艦二号
軽巡洋艦「神通」
軽巡洋艦「球磨」
練習巡洋艦「香取」
重巡洋艦「筑摩」「鳥海」
重巡洋艦「那智」
重巡洋艦「熊野」
重巡洋艦「羽黒」
駆逐艦「萩風」「嵐」「江風」
駆逐艦「夕雲」
海防鑑一三四号
海防鑑「粟国」
二等輸送鑑第一三五号、第一三六号
救難曳船「長浦」
著者等紹介
木俣滋郎[キマタジロウ]
昭和5年、浜松市に生まれる。一橋大学経済学部卒業。工学院大学付属高等学校教諭。教鞭をとる傍ら、戦史・兵器の研究に勤しむ。平成10年、退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
4
同題の朝日ソノラマ撃沈戦記シリーズから、日本艦のエピソードだけを集め一冊に再編集したもの。コロンバンガラでの神通の激闘、最後の最後まで粘り囮の大任を果たした千代田にまるゆといった艦これでもメジャーな艦の話もいいが、17隻の戦果を挙げ撃沈王と言われた伊二七と他の話もなかなかいいものがある。とはいえ、基本撃沈間際の話が中心なのであっさり目で悲壮感漂い、球磨の話など明らかに途中からその球磨を撃沈したタリホーが主人公になったりするのはご愛敬。伊勢日向が最後までハルゼーを翻弄し惑わせた話が面白い2014/06/17
じゅん
1
前大戦中に撃沈された日本の艦船の話。戦艦から潜水艦、さらには救難用の曳船まで幅広く扱っている。個人的には「先任将校」や「巡洋艦インディアナポリス撃沈」のような、撃沈の際とその後の救出されるまでの乗員の様子をが描かれていることを期待していたが、そういう描写はほとんど無かった。著者の選んだ25隻の船の概要が語られて、撃沈直前の戦いが若干細かく解説されているのみなので、物足りなさを感じる。ただ元が昭和63年頃の本なので、資料の少なさなどからそれも仕方ないのかもしれない。2013/09/13