内容説明
なにが善いことなのか、正しいことなのか?生きていくうえで、一度はきちんと学んでおきたい「倫理学」の現在を、主要な「理論」と新たな分野の「課題」の2つの軸でわかりやすく紹介する入門書。
目次
第1部 理論(義務論;功利主義;社会主義;生の哲学 ほか)
第2部 課題(世代間倫理;自然中心主義、動物の権利;生命の始まりと終わり;福祉と優生学 ほか)
著者等紹介
小松光彦[コマツミツヒコ]
1971年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得。慶應義塾大学文学部教授
樽井正義[タルイマサヨシ]
1976年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得。慶應義塾大学文学部教授
谷寿美[タニスミ]
1983年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得。慶應義塾大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チネモリ
4
「第Ⅰ部」第1・2・6・7・8・9章及び「第Ⅱ部」第2章読了。本書は「理論」と「課題」という構成になっている。各倫理学理論を各担当者が執筆しているが、どの章もコンパクトにまとめられおり文章も明解で参考になった。また章の最後に「参考文献」がついているのも嬉しい。倫理学初学者にも学び直す者にとっても有益なテキストである。2018/05/06
彩
2
全体的に優秀です。第I部では章ごとに様々な倫理学理論が述べられ、その思想が生まれた背景や経緯についても書かれているので、理論分野ごとの思想史をなぞれます。理論の解説はやさしい言葉が使われているものの、やや駆け足な箇所もあるので、可もなく不可もなくですが、この本の良い所は、その思想に対する反論、という形で他の思想が比較されているので、哲学系の記述試験の参考になる所です。また、それぞれの思想の共通している所、対立している所が、文章で分かりやすくまとめられています。(文字数の関係でコメント欄に続きます→2019/11/10
宇宙人
1
教科書なので短く書きすぎて分かりにくかったところはあるが、文献紹介も充実しているので教科書・入門書としてはよい。なんとなく興味を持てた分野を深めよう。2020/05/04
mochita
1
二部構成で、前半は倫理学理論を概説し、後半は現代社会が直面している倫理問題について取り組む、という一粒で二度おいしいお買い得の書。多少乱暴なところもあるが、だから逆にわかりやすく、入門書としては最適。2017/11/29
壱萬弐仟縁
1
ロールズの社会正義論(117ページ~)。『正義論』は大著で邦訳が出ているが、ここでは「公正な機会均等」の保証を重視している。現実社会では、必ずしもフェアな競争ではなく、世襲や出生の家柄で既に貧富が規定されてしまっていて、教育で子どもの力量次第で社会的にハイソな階級になれる可能性の芽を摘んでしまっているからである。サンデルはロールズを批判し、共同体のしがらみをどうとらえるか、問題視している(123ページ)。ロールズは「貯蓄原理」を提起している。上の世代や次の世代の財産の分配問題である。少子化は正義であるか?2012/10/02