内容説明
林家では、只次郎の姪・お栄の桃の節句を祝うこととなった。故あってあまり会えずにいた祖父・柳井もぜひ宴にと、声をかけられる。孫娘の祝いの席に何か特別な土産をと張り切る柳井だったが、お栄の母である娘からは「贅沢なものは不要」と言われてしまった。困り果て、居酒屋「ぜんや」で女将のお妙に相談を持ちかけると…。一方、お妙の笑顔と料理にぞっこんの只次郎に恋敵が現れる。小さな悩みも大きな悲しみも、まずはお腹を満たしてから。酒と箸が止まらない!ゆったり嗜む傑作人情小説、第四巻。
著者等紹介
坂井希久子[サカイキクコ]
1977年和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。2008年「虫のいどころ」で第88回オール讀物新人賞を受賞。2015年『ヒーローインタビュー』が「本の雑誌増刊おすすめ文庫王国2016」のエンターテインメント部門第1位に選ばれる。2017年『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』で第6回歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
313
シリーズ第4弾!今回は魅力的な料理が出てきましたね。『朧月』に出てくる料理が、とにかく食べたいかな。そして、物語にも新たな登場人物の登場で動きがありましたね。のんびりした只次郞も、こりゃ大変だ~。人間模様も鶯模様?も気になるわ。久しぶりに次回作が早く出ないかなと、気になるシリーズ第4弾でした。2018/03/25
いつでも母さん
181
佐々木がどう足掻くのかと思ったらあっけなく退場させた酒井さん(笑)このもやもやはいつか晴れるのだろうか?今回はお栄の『雛の宴』がよかったなぁ。なんて賢いのでしょう。そして新たな人物・重蔵の登場に只次郎の心は落ち着かない。(頑張れ~)今後どんな絡みがあるのだろう…お妙の作る料理は美味しそうだが、ここだけの話なんとなく私はお妙が苦手かも(小声で…笑)2021/03/31
やま
167
あ、あぁ~、美味しい…。シリーズ4作目 字の大きさは…小。書いていて、つばを飲み込み、ゴクリという音に我ながらビックリする。これは、旨そうだ…。食べたくて堪りません。そんな料理を出すお妙が恋をします。その物語です。「蓮餅の餡かけ」熱した胡麻油の中に、俵形にまとめたタネを沈めてゆく。タネは擂り下ろした蓮根とつなぎを混ぜたものをカリッと揚げると。しゅわしゅわと泡を立てている蓮餅を引き上げ油を切った。黄金色に揚がった蓮餅は、割るとサクッと音がする。とろみのある餡はまだ冷めていないようで、掬い上げると湯気が立った2021/05/10
yanae
124
居酒屋ぜんやシリーズ4作目。今回もおいしいお料理を堪能しました。今作はなんといっても重蔵さん。ぜんやの用心棒として裏に住み込みで働くことになった浪人。気持ちが動いている妙。でも、怪しいところもたくさんあって…。これは次作への持越し。只次郎は重蔵の登場に気が気じゃない(笑)仕事も先が見えず凹んで悩む。でも、その中で、仕事に希望がみえてきたり、家族の仲違いもお栄の活躍でいい方向にいったり。読んでいて只次郎頑張れ!と応援したくもなった一冊でした。また次も楽しみです。2018/08/10
Nao Funasoko
123
当初の謎は謎のまま言いえぬ存在感溢れる新キャラ登場。いろんな意味でさらに今後の展開が気になるシリーズ第4弾。「雛の宴」お栄の聡さと幼さのアンバランスさがいかにも年頃の娘風で小気味よい。豆腐も鰹も大好物というほどではないが、ここまで美味しそうに「尽く」されちゃうとじんわり唾がでてくる(笑)。ごちそうさまでした。2018/03/17