内容説明
D.W.WinnicottのCollected Papersを訳出したものである。二重の資格に二股をかけ、その間を生きた彼の人生と思考の過程がうまく表現された臨床論文集である。そして、ここに収録される諸論文が彼を紹介する論考でよく引用されるので、結果的に彼の「作品集」のようなものとなっている。
目次
食欲と情緒障害(1936)
設定状況における幼児の観察(1941)
児童部門のコンサルテーション(1942)
児童期の眼科的な精神神経症(1944)
母親の抗うつに対して組織された防衛という観点から見た償い(1948)
安全でないことに関連した不安(1952)
小児医学における症状の容認:ある病歴(1953)
在宅で取り扱われた症例(1955)
躁的防衛(1935)
原初の情緒発達(1945)〔ほか〕
著者等紹介
北山修[キタヤマオサム]
1946年淡路島に生まれる。1972年京都府立医科大学卒業。1974~1976年ロンドン大学精神医学研究所およびモーズレイ病院にて研修。1981~1991年北山医院精神科院長。1986年国際精神分析学会正会員。1991年九州大学教育学部助教授。1994年同教授。専攻は精神分析学。現職は九州大学大学院人間環境学研究院・医学研究院
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感想・レビュー
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めまい
4
難解だが、とてもとても面白い本。詩的と言われているように、抽象度の高い概念や論述のオンパレードなのだけれど、この書き方でなければウィニコットの示す心の世界は表現できないのだろうなとわかる。面白い。フロイト親子の精神分析論をベースに独自に心的発達論を展開。移行対象に関する理論が有名なのだろうが、個人的にはその元になる、外的対象を内在化させ→かつその内的対象を外在化させる、という対象イメージの取り込み方の理論が面白かった。人は生まれた時は個体ではなく、個体-環境からなるユニットなのだというのも。2024/03/15
ゼラニウム/フウロソウ科
0
図書館にない2022/05/29