目次
第1章 哲学者がみた白痴(国王大権;啓蒙された白痴;フレンチ・コネクション ほか)
第2章 私たちの中の蒙古人(白痴保護院;精神科医と精神医学;大西洋を越えた蒙古症 ほか)
第3章 猿線(精神衛生と蒙古症;精神薄弱の構築;知能検査 ほか)
第4章 21トリソミー(臨床遺伝学の誕生;ジェローム・ルジューヌ;ダウンの異常 ほか)
第5章 一般の社会の中へ(親の会;出生前スクリーニングの興隆;ダウン症と妊娠中絶論争 ほか)
エピローグ ダウン症の未来
著者等紹介
ライト,デイヴィッド[ライト,デイヴィッド] [Wright,David]
カナダ、モントリオールのマギル大学健康・社会政策研究所カナダ研究科長および歴史学教授。歴史学の訓練を受け、専門分野は医学史・障害史。精神衛生と精神医学の歴史に関する8冊の著書、編著書がある
大谷誠[オオタニマコト]
同志社大学大学院文学研究科で博士(文化史学)を取得。現在、同志社大学文学部嘱託講師。専門分野は西洋史・医学史・障害史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴
13
タイトルのままの内容。今も決して差別のない社会だとは言えないが、少なくとも福祉の面では昔よりマシだろう。今後も少しずつでもいいから、障害をもった人が障害を感じない世の中になりますように。2015/06/20
てくてく
3
ダウン症が、前近代においてはどのような存在として語られていたのか、その処遇はどうであったのか、染色体異常であることが発見され、それが現在の出生前診断によりダウン症の可能性が高い胎児の中絶につながるまでの歴史をまとめた労作。日本の事例も紹介されている。21トリソミーの発見者が実は別人(細胞実験にほとんど関与していなかったが結果を写真におさめて自分がリーダーであったかのようにふるまった。当時の若い女性研究者はそれが不当であることを言うことができなかった)であるという箇所がとても印象に残った。2015/04/18
とりもり
2
「ダウン症」の歴史というよりも「ダウン症を取り巻く社会」の歴史、といった内容。科学的に原因が不明だった時代に「蒙古症」という名称で白人優位な人種差別的な認識がなされていたのは仕方ないとはいえ、常に白痴として差別の対象、ひいては断種の対象となってきた歴史は重い。科学の進歩によって原因が特定され、羊水穿刺検査によって出産前に異常の有無が判別できるようになると、今度は中絶という形の新しい「断種」が拡がる。晩婚化と相まってダウン症の胎児比率は向上している中、全く未解決の非常に重いテーマだと思う。★★★★☆2021/08/22
takao
2
ふむ2021/07/21
こーよー
1
今でこそ同じ教育を受けている障害者たち。だか昔は悪とされ去勢や断種、殺戮すらされたそうだ。彼らにも彼らの両親にもその責任は一切ないのに不都合な扱い方にもし自分だったらと思いを傾けながら読んだ。障害者が生産効率を下げる理由でナチスは大量に殺戮したことは忘れてはならない。ふと思ったのだが、国をまとめるには何かを「悪」としなければならないのだろうか。昔は黒人。ナチスはユダヤ人。今は移民。。。2016/11/21