内容説明
風葬・遺棄から仏教的葬儀・共同墓地へ。中世の葬墓制はいかなる変遷を遂げたのか。触穢・屋敷墓・京師五三昧など葬墓制の諸相から実態を究明。都の貴族・武士らの葬儀が、地方や庶民へ浸透する様相を明らかにする。
目次
中世葬墓制研究の課題
第1部 死体遺棄と触穢について―中世前期の葬送と墓制(中世民衆の葬制と死穢―特に死体遺棄について;中世の屋敷墓;文献から見た中世の共同墓地;中世触穢思想再考)
第2部 伝統的葬墓制の形成―中世後期の様相(中世後期の葬送儀礼;「京師五三昧」考;鳥辺野考;さまざまな死)
著者等紹介
勝田至[カツダイタル]
1957年新潟県に生まれる。1988年京都大学大学院文学研究科博士。後期課程単位取得満期退学。芦屋大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よしださいめい
1
「書物復権」で知り、図書館で借りる。 書名通りの学術書で、かなり専門的。 中世の葬送についてのテーマを扱っているので、参考文献、引用文献もその当時のものが多く、(訓点はあるものの)漢文多し。 読み応えアリ。 中世日本の葬送のあり方、死者の弔い、風葬・土葬・火葬などを知る。 筆者である勝田至氏はこの分野の研究者であり、多くの本を執筆しておられる。倂せて読みたい。 『死者たちの中世』も読みたいが、こちらも絶版状態。 復刊を望む。2015/10/04
momen
0
平安時代あたりの死体処理及び葬式についての解説と、当時の京都に存在したとされる有名墓場の場所考察。貴族の間では仏教や民間信仰による葬式の形態が確立される一方、京都には埋葬に必要な金や身内のないせいで道路や空き地に放置される死体が多かった。説話がソースのものも多いので実際との相違はあるだろうが、当時の僧の社会的活躍もうかがい知れる。変死体やその魂に関する当時の考えも興味深い。13世紀くらいから徐々にでき始める共同墓地は当時の場所が諸説あり、記録から場所を割り出すパートは古地図好きな人にもおすすめ。2023/11/23