内容説明
古代国家が蝦夷対策のため陸奥国に建設した多賀城とは何か。また周辺への介入をいかにすすめたのか。東北の黎明期から、動乱の数々をへて奥州藤原氏の滅亡まで、政治・軍事の拠点=多賀城と地域の具体的な姿を解明。従来の文献史料や発掘成果のほか、木簡や漆紙文書、墨書土器などの出土資料を駆使し、古代東北史研究の現状と問題点を提示する。
目次
1 新しい古代東北史像を求めて―総論
2 多賀城前史
3 城柵の設置
4 多賀城発掘
5 掘り出された文字は語る
6 天平産金と国分寺
7 東北の社会と律令制
8 東北の動乱
9 俘囚長と藤原氏
著者等紹介
青木和夫[アオキカズオ]
1926年東京都に生まれる、51年東京大学文学部卒業、現在お茶の水女子大学名誉教授
岡田茂弘[オカダシゲヒロ]
1934年神奈川県に生まれる、60年同志社大学大学院修士課程修了、現在国立歴史民俗博物館名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mach0.9
2
大和政権による東北への進出過程を扱っている。軍オタ的には侵略で構わない。というか、世界史的に良く見られる構造がここでも見られていることに注目したい。交換経済が成立する辺境に役所兼の城を建設し、辺境の組み込みとして開始するが、抵抗があり、城への反撃、これに対する捜索撃滅、国家レベル脅威としての認識、後背領域からの動員と征伐、さらに離反の誘導、抵抗シンボルの補殺、協力者への顕彰、継続して行われる移民政策による支配の拡大、抵抗側の後背での協力関係の拡大、と考古学的軍事史として非常に面白かった2013/03/29