出版社内容情報
日本史における被差別民はいかなる存在か…… 教科書・授業における人権教育の実践と展望。近世身分については、歴史学の研究成果により「士農工商」という実態としての身分制が存在しなかったことが解明され、実際に社会科教育で取り上げることは少ない。だが教育現場では、近世身分についてどのように教えたらよいのか、いまだ混乱状況が続いている。本書は、歴史学研究を専門とする著者が理論(近世身分制研究)と実践(教育実践)の往還を行い、小・中学校教員の探究的な実践的指導力の育成を目指す。
はしがき
第?部 近世身分の特質
第1章 近世身分をめぐる研究の進展
第2章 江戸時代中期における「士農工商」観
1 「士農工商」観の先行研究
2 西川祐信『絵本士農工商』からみる身分観
3 西川如見『町人嚢』『百姓嚢』からみる身分観
4 「士農工商」観の今後の研究課題
第?部 小学校における近世身分学習
第3章 小学校社会科における近世身分学習の留意点
1 近世身分学習の課題
2 小学校社会科教科書記述の変遷
3 教科書活用上における留意点
4 近世身分学習の留意点
第4章 「単位社会集団」を中心概念とした授業構成
1 「単位社会集団」とは
2 2015年度版教科書の内容とその授業展開の考察
3 「単位社会集団」を学習する授業実践
4 本授業実践の課題
第5章 「士農工商」的身分観の払拭を目指す授業構成
1 「士農工商」的身分観の歴史的解釈
2 「士農工商」的身分観払拭の授業構成
3 「江戸時代の身分」の単元開発
4 中学校社会科への展望
第?部 中学校における近世身分学習
第6章 中学校社会科における近世身分学習の課題
1 課題検討の方法
2 中学校社会科教科書における近世身分制記述の変遷
3 中学校社会科教科書における「村(ムラ)」の記述の変遷
4 中学校社会科教科書における「町(チョウ)」の記述の変遷
5 近世身分学習の改善の視点
第7章 社会科における「理論と実践の融合」の現状と課題――2016年度版中学校社会科教科書の分析を中心に
1 「理論と実践の融合」とは
2 2016年度版社会科教科書(歴史的分野)の考察
3 2016年度版社会科教科書(歴史的分野)指導書の考察
4 近世身分学習のカリキュラム開発の必要性
第8章 単元「さまざまな身分と生活」の授業開発
1 中学校社会科教科書(歴史的分野)の課題
2 授業開発の概要
3 近世被差別民(「差別された人々」)を取り入れた授業構成
第?部 先行研究を生かした授業づくり
第9章 「中世の文化と差別された人々」の授業実践――外川正明氏『部落史に学ぶ』(解放出版社)に学んで
1 部落史研究の成果を生かした外川氏の実践研究
2 外川氏の学習プログラムの全体構成
3 中世における単元展開例の分析
4 「中世の文化と差別された人々(導入)」の教材提示
5 外川氏の学習プログラムの意義
第10章 市民的資質を高める総合学習の授業実践――開発教育協議会編『難民』(古今書院)に学んで
1 市民的資質育成の領域
2 地球規模の問題を「総合的な学習の時間」と「道徳科」で扱う意義
3 開発教育協議会編『難民』(小学生以上対象)の検討
4 総合単元「難民 - みんな同じ地球人 -」(兵庫県版)の授業構成
第11章 「合意形成」の視点を取り入れた人権学習の授業構成――現場の実践研究に学んで
1 「合意形成」の視点導入の意義
2 合意形成のスキル
3 スキル育成のための授業構想
4 社会科における合意形成能力の育成
5 合意形成能力育成のための授業構想
第?部 教師の力量形成を目指して
第12章 アクティブ・ラーニングによる教員研修プログラムの開発――近世身分学習の授業改善をねらいとして
1 教職大学院ストレート院生のアンケートから
2 研修プログラムの概要
3 アクティブ・ラーニングによる研修内容とその方法
4 近世身分規定要因の研修内容とその方法
5 近世身分学習授業改善の課題
第13章 教員の資質向上と研修――校内研修「単元授業研究」を中心として
1 校内研修の意義
2 単元授業研究の方法
3 単元授業研究の実際
4 単元授業研究の有効性
第11章 教員相互の協働する力を高める問題解決型研修
1 問題解決型研修の有効性
2 問題解決型研修の方法
3 問題解決型研修の実際
4 学年部および研修担当の役割
終 章 近世身分を学ぶ意義
参考・引用文献一覧
あとがき
事項索引
人名索引
和田 幸司[ワダ コウジ]
著・文・その他
内容説明
近世身分については、歴史学の研究成果により「士農工商」という実態としての身分制が存在しなかったことが解明され、実際に社会科教育で取り上げることは少ない。だが教育現場では、近世身分についてどのように教えたらよいのか、いまだ混乱状況が続いている。本書は、歴史学研究を専門とする著者が理論(近世身分制研究)と実践(教育実践)の往還を行い、小・中学校教員の探究的な実践的指導力の育成を目指す。
目次
第1部 近世身分の特質(近世身分をめぐる研究の進展;江戸時代中期における「士農工商」観)
第2部 小学校における近世身分学習(小学校社会科における近世身分学習の留意点;「単位社会集団」を中心概念とした授業構成;「士農工商」的身分観の払拭を目指す授業構成)
第3部 中学校における近世身分学習(中学校社会科における近世身分学習の課題;社会科における「理論と実践の融合」の現状と課題―二〇一六年度版中学校社会科教科書の分析を中心に;単元「さまざまな身分と生活」の授業開発)
第4部 先行研究を生かした授業づくり(「中世の文化と差別された人々」の授業実践―外川正明氏『部落史に学ぶ』(解放出版社)に学んで
市民的資質を高める総合学習の授業実践―開発教育協議会編『難民』(古今書院)に学んで
「合意形成」の視点を取り入れた人権学習の授業構成―現場の実践研究に学んで)
第5部 教師の力量形成を目指して(アクティブ・ラーニングによる教員研修プログラムの開発―近世身分学習の授業改善をねらいとして;教員の資質向上と研修―校内研修「単元授業研究」を中心として;教員相互の協働する力を高める問題解決型研修;近世身分を学ぶ意義)
著者等紹介
和田幸司[ワダコウジ]
1965年兵庫県生まれ。2005年兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。兵庫県公立学校教員、近大姫路大学教育学部専任講師、同准教授、同教授を経て、姫路大学教育学部教授。博士(学校教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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