出版社内容情報
児童福祉、家族多様化論のいずれか一方にとらわれず、豊富なインタビュー調査からその可能性を検証。現代を生きる里親の実像を探る近年、里親制度の社会的要請は高まっている。本書は、委託率問題や支援策検討などの福祉的文脈、「親子」「家族」関係の新しさに着目する家族的文脈のどちらにも偏らず、2つの文脈が交錯する場で、時間的・関係的限定性を持つ里親が抱える葛藤を検証。また、豊富なインタビュー調査から、里親を取り巻く諸機関、長期的養育の困難性、里親委託終了後の関係性などを考察。里親制度の基本概念や先行研究も詳説し、里親の立場とその可能性を探究する。
はしがき
初出一覧
序 章 里親研究の射程――家族であること、社会的養護の担い手であること
1 問題の所在
2 本研究の基礎概念
3 研究目的と本書の構成
第1章 里親養育の概況――歴史と実態
1 里親養育の歴史
2 里親制度の規定する里親「家族」像の変遷:関連省令・通知等を素材に
3 現代の里親養育の実態
第2章 里親経験はいかに捉えられてきたのか――先行研究と本書の位置づけ
1 里親養育研究の展開:「拡充論」「支援論」の到達点と課題
2 家族研究の系譜と里親家族
3 ケア・支援の社会学への展望
4 理論的視座
5 本書の立場
第3章 里親たちの語り――調査・分析の方法
1 インタビュー調査概要
2 調査協力者の特徴
3 分析手続き
第4章 共存する「社会的養護としての養育」と「ふつうの子育て」
1 本章の課題:子どもをあずかれば親子になるのか
2 多様な里親像
3 「里子」としての理解:委託以前の非共有時間に向きあって
4 「実子と同じ」という理解
5 「社会的養護としての養育」と「ふつうの子育て」との葛藤
6 本章のまとめ:「養育」と「子育て」の関係
第5章 家庭であること/仕事であることをめぐって――関係機関と比較した里親家庭の意味づけ
1 本章の課題:里親養育はなぜ「仕事」と距離化されがちなのか
2 専門性との距離化
3 施設生活との対比で語られる家庭らしさの価値
4 仕事としての要保護児童ケアとの異同
5 養育費、里親手当の解釈:報酬受取・賃労働化の回避
6 本章のまとめ:顕在化する家族ケアの特性
第6章 親であること/支援者であることをめぐって――実親との比較による里親の意味づけ
1 本章の課題:里親は実親の代替なのか
2 実親との交流がない場合
3 実親との交流がある場合
4 里親子関係終了後の実親への対応
5 本章のまとめ:実親の存在感
第7章 措置委託解除後の子どもとのかかわりにおける葛藤と対処――18歳からのはじまり
1 本章の課題:措置委託が終わると里親里子は「純粋」な家族になるのか
2 措置委託解除の2つの意味
3 子どもとの意向の調整:里親の許容範囲内の場合
4 子どもの意向・里親の理想と里親の許容範囲が一致しない場合
5 里親子関係の帰着点
6 本章のまとめ:重なり、すれ違う里親子の期待
終 章 里親たちの葛藤に通底する困難とその生起メカニズム
1 本研究の主要な知見
2 本研究の意義と今後の展望
参考文献
巻末資料
おわりに
人名索引
事項索引
安藤 藍[アンドウ アイ]
2016年12月現在 首都大学東京都市教養学部助教
内容説明
近年、里親制度の社会的要請は高まっている。本書は、委託率問題や支援策検討などの福祉的文脈、「親子」「家族」関係の新しさに着目する家族的文脈のどちらにも偏らず、2つの文脈が交錯する場で、時間的・関係的限定性を持つ里親が抱える葛藤を検証。また、豊富なインタビュー調査から、里親を取り巻く諸機関、長期的養育の困難性、里親委託終了後の関係性などを考察。里親制度の基本概念や先行研究も詳説し、里親の立場とその可能性を探究する。
目次
序章 里親研究の射程―家族であること、社会的養護の担い手であること
第1章 里親養育の概況―歴史と実態
第2章 里親経験はいかに捉えられてきたのか―先行研究と本書の位置づけ
第3章 里親たちの語り―調査・分析の方法
第4章 共存する「社会的養護としての養育」と「ふつうの子育て」
第5章 家庭であること/仕事であることをめぐって―関係機関と比較した里親家庭の意味づけ
第6章 親であること/支援者であることをめぐって―実親との比較による里親の意味づけ
第7章 措置委託解除後の子どもとのかかわりにおける葛藤と対処―18歳からのはじまり
終章 里親たちの葛藤に通底する困難とその生起メカニズム
著者等紹介
安藤藍[アンドウアイ]
1985年東京都生まれ。2009年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、修士(社会学)。2014年お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士課程修了、博士(社会科学)を経て、首都大学東京都市教養学部都市教養学科人文・社会系助教、専門社会調査士、社会福祉士。専門は家族社会学、福祉社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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