叢書・知を究める<br> 自由の条件―スミス・トクヴィル・福澤諭吉の思想的系譜

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自由の条件―スミス・トクヴィル・福澤諭吉の思想的系譜

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  • サイズ B6判/ページ数 351,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784623077922
  • NDC分類 331.42
  • Cコード C0333

出版社内容情報

「デモクラシー』の問題を乗り越え、「共同善」を目指す「市民」を創り出す習俗(m?urs)とは何か。スコットランド啓蒙思想を背景とするアダム・スミスは、リベラル・デモクラシーの思想家トクヴィルの著作にどのような痕跡を残したのか。また、その思想は、古典的自由主義思想家の福澤諭吉の社会観にいかなる影響を与えたのか。本書は、トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』を精査していくなかで英仏日の国際的思想伝播の過程を巡り「人間にとっての自由の意味」を今一度問い直す。

序 章 本書の目論み

  実証的な比較体制論

  現代社会のアポリア──自由と平等の両立

  相互依存の感覚の喪失

  社会的な紐帯を回復する



第1章 個人の自律性と地方自治

  中央集権の二つの意味

  福澤諭吉がトクヴィルから吸収したこと

  人材活用策としての地方分権

  地方分権論と人間の尊厳

  個人の利害と社会的関心

  補完性の原理の現代性



第2章 地方分権と「市民」の誕生

  人間の愛情は力あるところに向かう

  自治の精神が公共の秩序と安寧を生む

  トクヴィルとスミスにとっての「個」と「秩序」

  「自己の利益」から「啓発された自己利益」へ

  無理な理想ではなく、到達可能な目標



第3章 英国古典派経済学の影響

  アダム・スミスとトクヴィルの分業論

  同感(sympathy)との関係

  トクヴィルの英国訪問

  第一回英国旅行

  英仏の貴族制の違い

  ボーリングとの会談

  貴族制と革命

  第二回英国旅行

  福澤諭吉の怨望論

  第三回(最後の)英国旅行



第4章 中産階級の政治的無関心

  民主制社会の労働者階級

  福澤諭吉の「ミッヅルカラッス」論

  中産階級という概念の変化

  アリストテレスの「中間層」の楽観論

  中産階級の堕落

  なぜティエールとの協力を拒むか

  トクヴィルが捉えた中産階級

  公的な事柄への関心の低下

  デモクラシーとリーダーシップ

  ポパーの理解

  階級意識と社会的存在

  トクヴィルの慧眼と危惧



第5章 個人・結社・国家

  結社は社会を分断しない

  福澤の「結社」論への影響

  結社を通して共同善へと収斂

  オルテガにおける「野蛮」と「文明」

  平等と結社の必然の関係

  米国の実情

  米国の大学評価の例

  国家財政への貢献

  結社数の歴史的動向

  ケインズの指摘



第6章 司法に埋め込まれた国民主権

  英米法の複雑さ

  「貴族」としての法律家

  政治制度としての陪審制

  英国の司法の「分権化」

  衡平法裁判所の起源と競争

  陪審制・同感・秩序



第7章 メディアの役割

  行政の集権化と新聞の数

  アメリカの新聞とフランスの新聞

  福澤諭吉の「新聞紙」紹介

  『時事新報』の場合

  「独立不羈」を目指す結社

  言論の自由の両面性

  出版業の経済利益と質の低下

  信念はいかに形成されるのか

  学問と弁証法

  第一思念と第二思念

  ミルトンの戦い

  財の市場の製造物責任

  R・コースの問題



第8章 公道徳と宗教

  貴族の公的義務

  カーネギーの「善行基金」

  公徳としての名誉心

  デモクラシーにおける弱い「名誉心」

  不平等社会と名誉

  デモクラシーの重りとしての宗教

  宗教の必要性

  「国教」と政教分離の問題

  アダム・スミスの政教分離論



第9章 平等がもたらす順応主義

  政治の「人民主権」と経済の「消費者主権」

  「流行」と「画一化」

  順応主義と「大衆」

  オルテガの「大衆」概念

  森の中の旅人

  プラトンの影響

  寡頭制から民主制への移行

  「父親と息子」「先生と生徒」

  トクヴィルの描く「主人と従僕」

  デモクラシーにおける契約関係

  マスターとサーバントのパラドックス



第10章 学問・文学・芸術への影響

  「民主的なもの」と「アメリカ的なもの」

  ヨーロッパの人材、アメリカという舞台

  経済理論の応用学の普及

  経済学から政治学への適用

  法学への適用

  パスカルのような研究者は出るか

  芸術も、学問の場合と似ている

  映画監督はどこから来たか

  なぜ映画産業はアメリカで栄えたか

  文学の名作を映画化したものには駄作が多い

  デモクラシーと想像力

  芸術の質の低下

  芸術における「理想」



第11章 商業社会と尚武の精神

  スミスの指摘する市場社会の不都合

  商業のもうひとつの悪影響

  民兵の誕生

  規律と常備軍

  トクヴィルの視点

  デモクラシー国家の兵士と市民

  民主制下の軍人の特質

  どの階級が好戦的か

  下士官の特質

  民主国の軍隊はなぜ老齢化するか

  長い平和の軍隊への影響

  デモクラシーは軍規を弛めるか

  戦争忌避の傾向について

  民主的国家と貴族制国家の国民の抵抗力

  ナポレオンの戦略

  日本の事情は異なる



第12章 習俗(m?urs)を生み出す女性の地位

  トクヴィルの見た米国の女性

  アメリカにおける恋愛と婚姻

  男女平等の将来

  J・S・ミル『女性の隷従』

  福澤の女性への崇敬の念



第13章 日本の「民権論」

  地方議会の重視

  「犬の糞を避けてはならない」

  品行を修める必要性

  「マルチルドム」の思想

  宗教の位置付け

  わからないことがあるという姿勢

  コンフォルミズムの弊害

  ひとつのパラドックス

  民権への危惧

  平等は蜃気楼か



あとがき

人名・事項索引



猪木 武徳[イノキ タケノリ]
大阪大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授

内容説明

スコットランド啓蒙思想を背景とするアダム・スミスは、リベラル・デモクラシーの思想家トクヴィルの著作にどのような痕跡を残したのか。また、その思想は、古典的自由主義思想家の福澤諭吉の社会観にいかなる影響を与えたのか。本書は、トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』を精査していくなかで英仏日の国際的思想伝播の過程を巡り「人間にとっての自由の意味」を今一度問い直す。

目次

本書の目論み
個人の自律性と地方自治
地方分権と「市民」の誕生
英国古典派経済学の影響
中産階級の政治的無関心
個人・結社・国家
司法に埋め込まれた国民主権
メディアの役割
公道徳と宗教
平等がもたらす順応主義
学問・文学・芸術への影響
商業社会と尚武の精神
習俗(moeurs)を生み出す女性の地位
日本の「民権論」

著者等紹介

猪木武徳[イノキタケノリ]
1945年滋賀県生まれ。1968年京都大学経済学部卒業。1974年マサチューセッツ工科大学大学院修了、Ph.D.。大阪大学経済学部教授、国際日本文化研究センター所長、青山学院大学国際政治経済学部特任教授などを歴任。現在、大阪大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

123
これはミネルヴァ書房の広報誌「究」に連載されていて当初は、フランク・ナイトやベルクソンまで触れるつもりだったのがやむなく前半部分だけとなったようです。アダム・スミスのトクヴィルへの影響と福沢諭吉のトクヴィルからの影響を中心とした論考となっています。いままでトクヴィルについては「アメリカの民主主義」という大著のみが頭にあり、彼の思想の根源はあまり気にかけたことはありませんでした。また福沢がトクヴィルを読んでいたこともほとんど知りませんでした。諭吉選集を読み直しましょうかね。2016/11/11

marukuso

2
トクヴィル・福沢諭吉・アダムスミスの三人が並んでいること自体珍しい。トクヴィルを軸に自由はどうあるべきか、自由を成り立たせる条件とは何なのかを問う。民主制下において境遇は平等化の傾向をもち、貴族制とは違い階級や身分ではなく、資産の多寡で序列がつけれられる。自由と平等を両立させるのは難しく、どうバランスさせていくかが問題となる。これまでの自由=是という価値観を見直し、道徳や習俗に基礎づけられた自由が改めて問い直されている。この三人をつなげて縦横無尽に語れるのはすごいと思った。2016/11/07

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