世界の見方の転換〈3〉世界の一元化と天文学の改革

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  • サイズ B6判/ページ数 p700/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622078067
  • NDC分類 440.23
  • Cコード C1340

出版社内容情報

ドグマ的二元宇宙論の崩壊からケプラーの天体力学誕生にいたる変革の完成。一六世紀文化革命を軸とする壮大な史観が像を結ぶ第3巻。

◆16世紀の彗星・新星の観測が、アリストテレス・パラダイムの正否を数値的に検証する決定的な契機となった。ティコ・ブラーエらによる新たな宇宙像の模索と観測精度の改善をはじめ、理論・技能・認識のすべてにわたる変革が、ついにケプラーの天体力学に結実する第3巻。◆史料原典・研究文献をはば広く読み込んで、自然学史上に浮沈した有名・無名の人物の構想と創意を丹念に跡付け、読者にその思索の軌跡をいきいきと近体験させる手腕は著者の真骨頂。歴史研究の興味に心躍らせながら本書を読み終えたとき、<三部作>が提示する一個の史観が凛然と浮かび上がる。

第9章 彗星についての見方の転換――二元的世界溶解のはじまり/10章 アリストテレス的世界の解体―― 一五七〇年代の新星と彗星/第11章 ティコ・ブラーエの体系――剛体的惑星天球の消滅/第12章 ヨハネス・ケプラー――物理学的天文学の誕生/あとがき/付記C:ケプラーの法則に関連して/付記D:ケプラーと占星術/注記/文献/索引

内容説明

宇宙観と自然学の転回点にケプラーが登場。変革の物語はついに、物理学的な地動説と天体力学の形成にいたる。最終巻、近代科学誕生の謎を解く壮大な史観が像を結ぶ。

目次

第9章 彗星についての見方の転換―二元的世界溶解のはじまり(彗星の自然学的理解;彗星予兆説と占星術 ほか)
第10章 アリストテレス的世界の解説―一五七〇年代の新星と彗星(一五七二年の新星;ヘッセン方伯ヴィルヘルム4世 ほか)
第11章 ティコ・ブラーエの体系―剛体的惑星天球の消滅(ティコ・ブラーエとコペルニクス理論;ティコ・ブラーエの天体観測 ほか)
第12章 ヨハネス・ケプラー―物理学的天文学の誕生(メストリンとの出会い;ケプラーの出発点 ほか)

著者等紹介

山本義隆[ヤマモトヨシタカ]
1941年、大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学大学院博士課程中退。現在、学校法人駿台予備学校勤務。著書『磁力と重力の発見』全3巻(みすず書房、2003、韓国語訳、2005:パピルス賞、毎日出版文化賞、大佛次郎賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

102
この巻では、ティコ・ブラーエとヨハネス・ケプラーを中心に論じられていて非常にわかりやすく読みでがありました。これで山本さんの三部作を全巻読んだわけですが、非常に素晴らしい業績であると思われます。この三部作を読めば、大学の講義の科学史を聴講したくらいのレベルである、あるいはそれ以上かもしれません。あとがきでこの三部作については述べられておられますが、いいまとめの文章になっています。2016/02/15

夜間飛行

55
アリストテレス以来、天球は神の領域であり不変と信じられたらしい。突如現れる彗星は大気の燃焼であり、動物の奇形と同じく奇蹟や予兆と考えられたという。そんな時代に、観測への情熱を持ち続けたティコやメストリンによって新星が論じられた意義は大きい。ケプラーが惑星の楕円軌道を発見できたのも、宇宙を力学の支配する場と考えればこそであって、その根底には観測して目で確めるという実証精神やひたむきな数学的思考があった。科学を生み出した人間の心は、現代文明がどっぷり浸かっている科学への過剰な期待や依存心とは別物なのだと思う。2016/10/10

roughfractus02

4
超新星の出現はアリストテレス以来の有限で不変の宇宙像を揺るがす観測結果をもたらし、太陽の反対側に伸びる彗星の尾は太陽がエネルギーを発することを予測させる。天体観測所の高額な機器でデータを厳密に取り続ける偏屈者ティコ・ブラーエが火星の軌道計算をケプラーに任せると、その精緻なデータは火星の描く楕円軌道をはじき出す。一方、ケプラー自身第一原因である神の観念を捨てず、真円から「遠隔力」として楕円をはじき出した式に間違いの部分がある点を指摘する本書は、統一された主体なる近代的観念の不完全さを、読者に常に意識させる。2019/02/26

MrO

2
もちろん本文もすごい。しかし、後書きも必読。上級な映画を見終えて、エンドロールに浸りながら、それまでのシーンを振り返る贅沢な余韻を味わってるようなものである。最後に、原発のことに触れている。原発は、地震がなければ、事故が起きなければ許されるものではない。たかだか、目の前の100年程度のエネルギーを手に入れるために、何十万年という負の遺産を子孫に残すことに、何の呵責も感じない無責任な神経。人類の生き残りをかけて、人類にこれまでの繁栄をもたらせた理性とやらの本領が問われる時である。2015/07/17

takao

1
ふむ2020/12/07

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