ウォー・ギルト・プログラム―GHQ情報教育政策の実像

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  • サイズ A5判/ページ数 302p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784588321344
  • NDC分類 210.76
  • Cコード C3021

出版社内容情報

戦争の有罪性を日本人に自覚させようとした占領政策の成功と挫折。膨大な史料に基づき、 江藤淳らの従来の洗脳説に修正を迫る。占領期に連合国軍総司令部は、戦争の有罪性を日本人に認識させるための政策「ウォー・ギルト・プログラム」を実施した。のちに江藤淳らはこれを、侵略戦争観を日本国民に植え付けるためのもので、洗脳であるという立場をとった。本書は、膨大な資料に基づいてプログラムで最も重視された点や内容の変遷などを詳細に検証し、従来の説に異論を唱える意欲作である。

【目次】

序章 「ウォー・ギルト・プログラム」とは何か

第1章 日本人を知る

一 知日派スミスと対日心理作戦

二 対日心理作戦会議での議論

三 本土へのビラ投下作戦

第2章 「軍事的な完全敗北」を認識させる

一 占領管理体制に対する日米のせめぎあい

二 「戦争の有罪性」認識の欠如

三 「ウォー・ギルト・プログラム」の開始

第3章 「残虐行為」を理解させる

一 占領軍とメディアのせめぎあい

二 「残虐シリーズ」

三 ラジオによる啓蒙

第4章 「戦争の真実」を提示する

一 「太平洋戦争史」

二 「真相はこうだ」

三 「戦争の真実」の受容

第5章 東京裁判判決を受け入れさせる

一 宥和路線へ

二 「真相箱」放送開始

三 東京裁判との結び付き

四 新たなプログラムへの提言

第6章 原爆投下に向きあう

一 日米原爆観の相克

二 原爆投下をめぐる記述の変遷

二 原爆関連報道への対応

終章 「ウォー・ギルト・プログラム」の意義と評価



あとがき

史料および参考文献

索引

賀茂 道子[カモ ミチコ]
著・文・その他

内容説明

日本人はGHQに「洗脳」されたのか?太平洋戦争の真実を教え、戦争の有罪性を自覚させようとした占領政策の成功と挫折。膨大な史料に基づき、江藤淳らの従来の説に修正を迫る意欲作。

目次

序章 「ウォー・ギルト・プログラム」とは何か
第1章 日本人を知る
第2章 「軍事的な完全敗北」を認識させる
第3章 「残虐行為」を理解させる
第4章 「戦争の真実」を提示する
第5章 東京裁判判決を受け入れさせる
第6章 原爆投下に向きあう
終章 「ウォー・ギルト・プログラム」の意義と評価

著者等紹介

賀茂道子[カモミチコ]
早稲田大学教育学部卒業、名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。現在、名城大学非常勤講師。専門は、日本政治外交史、占領史研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

25
WGIPは日本の右翼から、日本人の歴史観(右翼の言う自虐史観)をGHQによる洗脳の結果とする根拠として支持されているが、むしろ逆でWGIPこそ、右翼並びに日本人を免罪するロジックとして利用された事がよくわかる。軍国主義者に全ての責任を負わせる方針のWGIPは、国民の「騙されていた」「責任はない」との実感にお墨付きを与え、定義が明確化されていない軍国主義者に責任を集中させた。その結果、国民は戦争を総括せず、また軍国主義者と国民を分ける明確な線引きがなされていない事により、軍国主義者も最終的に免罪したのである2021/01/13

BLACK無糖好き

22
戦後占領期GHQによる日本人の自虐史観の押し付けと捉えられる事の多いWGIPを多角的に捉え直し、「戦争の有罪性」の考察や東京裁判との関連性なども論じている。本書のテーマは巷ではイデオロギー論争に流されるきらいがあるが、異なる文化的背景を持った征服者が被征服者の基本的な価値、概念、制度を変革しようとした企てとして、もっと普遍的な見方で分析する必要があるのだろうと感じる。その意味で本書は、西欧的倫理観に基づいた「戦争の有罪性」を日本国民は完全には受け入れなかった点を導き出すなど、幅広い視点が特色。2018/09/30

ドラマチックガス

11
呉座さんが嘆いているように、アカデミックな世界の人たちはネトウヨ的言説を無視してきた。そんななか、冒頭で「荒唐無稽なウヨ言説」をはっきりと、しかも端から否定という態度ではなく取り上げた珍しい学術書。ものすごく要約してしまえば、①WGPはいわゆるWGIPみたいなものではなかった。②そもそもWGPはあまりうまくいかなかった。③当時の日本人もGHQに無条件で従っていたわけではなかった。という話。それにしても、博論として取り掛かってから、スタート地点の江藤資料を手に入れたのが2年後…賀茂さんの根気に脱帽。2020/07/22

Masatoshi Oyu

8
戦後日本の歴史学は「自虐史観」に塗れている。そう考える一部人士からその元凶と目されるウォー・ギルト・プログラム(WGP)。ところが、実はその実態はよくわかっていない。WGPを世に知らしめた江藤淳も、ほんの一部の史料を我田引水に解釈しているため、世に知られるイメージとはかなり異なるのではないか。では本当はどのようなものだったのか。著者が新たな史料や視点から解明を試みる。 2021/05/02

Kenji Umebara

3
最近保守が「WGIPガー」と騒いでいるので、保守ビジネス本はなく、専門家による学術書を読んでおこうと思いまして。戦中からの対日心理作戦や、戦後占領政策の一部である情報教育についての包括的分析です。 歴史にはあまり興味もないし、現代史の知識も乏しいので、最初はあまり気が進まなかったのですが、これがけっこうおもしろいのです。民俗学、文化人類学、宗教学も駆使して日本人の精神構造を分析し、戦争と占領政策に利用していたとは。資源や物資でも米国にはとうていかなわないのに、頭脳でも圧倒的な差があったわけか。 2019/11/01

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