出版社内容情報
諸著作の内在的読解に加えその思想を歴史的文脈に位置づけることにより理念と現実を架橋する実践的思想家としてのカント像を提示す…カントは理想主義的・非政治的な哲学者であったのか。『ベルリン月報』誌上における論争、『永遠平和のために』、『人倫の形而上学』等の内在的読解に加え、その思想を歴史的コンテクストに位置づけていくことにより、理念と現実との間を架橋しようとした実践的思想家としてのカント像を提示する。一八世紀末プロイセンの政治状況下においてカントが構想した変革の戦略を明らかにする政治思想史研究。
凡 例
謝 辞
序 論
非政治的な哲学者カント
方法と視座
課題と構成
第一章 理論と実践──プロイセンの論争
第一節 プロイセンの論争
第二節 カントの介入
第三節 根源的契約の理念
第四節 カントとフランス革命
第二章 自由の権利
第一節 法の普遍的原理
第二節 法的な、そして共和主義的な自由
第三節 人間の権利と人間性の権利
第三章 私法から公法へ
第一節 取得的権利の正当化
第二節 自然法学における所有
第三節 自然状態からの脱出義務
第四章 共和制の理念
第一節 〈理念の国家〉あるいは純粋共和制
第二節 代表の概念
第三節 〈現象の国家〉における複数の共和制
第五章 執行する法論としての政治
第一節 政治的思慮批判
第二節 執行する法論あるいは共和主義的統治
第三節 暫定性の政治学
第六章 人民の抗議と共和主義
第一節 抵抗と抗議
第二節 ドイツにおける言論の自由
第三節 抗議の行為遂行的な力
結 論
文献一覧
事項索引
人名索引
網谷 壮介[アミタニ ソウスケ]
著・文・その他
内容説明
フランス革命後のプロイセンでは、政治実践において理性理論を否定する言説がひろがっていた。カントはこの言説空間に介入し、硬直した君主制を共和制の理念へむけて変革する術を模索しはじめる。理念と現実との間を架橋すべく思考した実践的哲学者としてカントをとらえなおす政治思想史研究。
目次
第1章 理論と実践―プロイセンの論争
第2章 自由の権利
第3章 私法から公法へ
第4章 共和制の理念
第5章 執行する法論としての政治
第6章 人民の抗議と共和主義
著者等紹介
網谷壮介[アミタニソウスケ]
1987年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。立教大学法学部助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
3
すずき