平凡社ライブラリー
オーウェル評論集〈1〉象を撃つ (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 318p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582766875
  • NDC分類 934
  • Cコード C0398

内容説明

玻璃のように澄んだ言葉で大英帝国への憎しみを語ったオーウェル、「右であれ左であれ、わが祖国」と、英国への愛を語ったオーウェル、どちらもおなじディーセントなオーウェル。英国植民地政策を批判した「絞首刑」「象を撃つ」、一民兵として戦争の内実を綴った「スペイン戦争回顧」、子供時代のアイロニカルな回想「あの楽しかりし日々」など、“経験”をテーマとした自伝的エッセイを収録。

目次

絞首刑
象を撃つ
マラケシュ
右であれ左であれ、わが祖国
スペイン戦争回顧
『動物農場』ウクライナ版への序文
なぜ私は書くか
一書評家の告白
貧しき者の最期
あの楽しかりし日々
「私の好きなように」より

著者等紹介

オーウェル,ジョージ[オーウェル,ジョージ][Orwell,George]
1903‐1950。イギリスの作家・ジャーナリスト。本名エリック・アーサー・ブレア。大英帝国の植民地インドのベンガル州で、阿片局勤務の官吏を父として生まれる。セント・シプリアン校、イートン校で学んだ後、1922年‐27年、大英帝国の警察官としてビルマに勤務。辞職後のパリとロンドンでの放浪生活を1933年、『パリ・ロンドン放浪記』(岩波文庫)として発表。1941年‐43年、BBCでインド向けラジオ番組を製作。その後『トリビューン』誌の文芸欄編集長を務める

川端康雄[カワバタヤスオ]
1955年、横浜生まれ。日本女子大学文学部教授、英文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へこきむし

13
あけましておめでとうございます。 オーウェルに嵌って抜け出せません。英国植民地政策を批判した「象を撃つ」と「絞首刑」は秀逸ですが、私が一番感じいったのは「全体主義の下で内面の自由があるか」(本書p249〜252)。どんな体制であろうと人間は自律的な個人であり続ける、という幻想が見事に打ち砕かれます。「言論の自由を取り去れば、創造能力は干あがってしまう」小林多喜二のように思想を貫いた末の拷問死は、非常に特殊な例だろうなと思います。2014/01/05

masabi

12
【概要】ジョージ・オーウェルの経験をテーマとした評論集。【感想】植民地政策批判、祖国への愛、プレパラトリースクールでの思い出と題材の幅が広い。人間が人間らしさを享受できない状況への怒りがあり、国内ならば労働者階級が、植民地に目を向ければ植民地の住民が犠牲になっている。中流階級の出ながら裕福な子弟の集う学校に進学し、反ジェントルマン意識を、ビルマでの警察官勤務が反帝国主義を、著述業に移ってから赤貧に喘いだこともあり社会主義的思想を強める。経験と著作が見事に対応する様に感心した。2022/04/13

Mark.jr

4
小説でもルポルタージュでも評論でも、視点が揺るがないというか、こういう力強い文章最近あまり出会わないなとも思いました。2023/08/01

ハルバル

2
オーウェルが少年時代に奨学生として通ったパブリックスクール準備校(一種の超進学校みたいな)での屈辱的な生活を回想した「あの楽しかりし日々」が面白かった。こんな学校通いたくないなぁと身震いしつつけっこうコミカルに描かれてたりして。こんな生活してグレずにイートンまで行ったのに大学進学しないでビルマに警察官として赴任するオーウェルって人生自体がもう面白いんだよね(しかしこの植民地就職という進路自体はさして珍しくなかったらしいが)思想を形作る芽のような「経験」をどう捉えるか。それはその人次第なのだ2015/05/17

小野靖貴

2
短い作品だがその優れた洞察力と表現力で読者に痛烈な印象を残す、それがオーウェル。後の「1984年」らにも流れる全体主義、帝国主義への批判や不可避性についての萌芽が見て取れます。舞台のモウラミャインにはかつて一週間ほどですが滞在したことがあります。彼の現地での被差別体験やその情景描写は80年後の自分も同様に感じた部分が意外にも多くあり、この作品には殊に愛着を持っています。象を撃ち殺すことは避けられなかったのか、人間は悲劇のショーを望むのか、一つの出来事を深く深く掘り下げる本書、お勧めですよ。短いし。2014/04/16

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