出版社内容情報
本所亀沢町の「おけら長屋」の面々による笑いあり涙ありの書き下ろし時代小説第2弾。テンポいい会話、巧みな物語運びがパワーアップ!
【著者紹介】
作家
内容説明
お騒がせコンビ、万造と松吉に振り回される大家の徳兵衛。わけあり浪人の島田鉄斎、左官の八五郎におかみさん連中―本所亀沢町の「おけら長屋」は、「人情」と「お節介」が炸裂する江戸っ子ワールド。万造と迷子の勘吉の胸に迫る交情を描いた「まよいご」はじめ、大好評を博した前作以上に、江戸落語さながらの笑える、泣ける、温まる六篇を収録。著者会心の連作時代小説、待望の第二弾。
著者等紹介
畠山健二[ハタケヤマケンジ]
1957年東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、週刊誌のコラム連載、ものかき塾での講師まで精力的に活動する。日本文芸家クラブ会員。『スプラッシュマンション』(PHP研究所)で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
185
第2巻にして早くも脂が乗ってきた感のある人情噺に笑ったり、ほろっとしたりで満足の一冊。特に『だいやく』の「申し訳ありません」~「償いてえんです」~「おつむてんてん」の流れは名作落語のように見事で大笑いさせられた。他の話も万松の「犬猫なみ」の考えと熱い人情が微笑ましく、長屋住民たちのチームワークに江戸っ子の心意気を教わった気分。「乙な夜鷹探しの金太」のボケっぷりが伏線となり、事件解決と上手く絡めてあるのも巧み!何にでも「乙な」と付けて喋りたくなるほど気に入った。こりゃあ、全作読まねえといけねえぜぃ(^^♪2019/12/30
のり
141
この長屋に住んだら、多少迷惑でも暇な時はないだろう。長屋仲間の為なら命を懸けて事にあたる。多々夫婦喧嘩もあるが、お愛嬌。左官職人の「八五郎」と「お里」の馴れ初めが良い。同じ左官職人の「為三郎」との邂逅も良かった。迷い子の世話をした「万造」の優しさ、寂しさを振り払う姿にしびれた。2018/10/15
ぶち
130
"人は血でつながっているんじゃねえ。心でつながってんだ。このおけら長屋の連中を見てみろ。もとはみんな他人じゃねえか。なのにこうして他人のことに必死になってやがる" 文中に出てくるこのセリフは、おけら長屋の住人たちの心意気をよく表しています。 まさに、このセリフ通りに住人の皆が必死になって、鉄斎を助けるくだりは圧巻です。皆がそれぞれに知恵を絞って真の下手人を焙り出していく過程は、並みの捕り物帖では敵わない面白さです。痛快です。そして、心に沁みる人情にもますます磨きがかかっています。2020/09/25
chiru
124
貧乏長屋を舞台に、気風の良さが売りの江戸っ子魂が炸裂する第二巻。大黒柱の大家さん、騒動と聞けば片足をつっこむ万松コンビ、長屋のピンチヒッター島田鉄斎、一丸となってお梅を守る人情深い面々。今作では、万造と迷子の心を通わせていく姿に、泣かされずにいられません。父親になる自信のない久蔵のための三文芝居は失敗…でも、万松の優しさが嬉しい。人情とお節介こそ、日本人が大事に守ってきた宝かもしれないな。みんなを笑顔にさせ、どれだけ泣かせるんだろう…長屋の人たちを身近に感じる、楽しい時間を過ごせました✨ ★52020/03/24
新地学@児童書病発動中
118
一が楽しかったので、二もすぐに読んでみた。おけら長屋に住む面々と再開するのは楽しい。特におっちょこちょい万造と松吉の独身コンビが良い感じ。相変わらずユーモアたっぷりで泣けるところもあって、安定した面白さ。私が一番笑いながら読んだのは四の「こくいん」。イケメンのお殿様が長屋にふらりと迷い込んで一騒動起きる。酔っぱらって腹芸を披露したお殿様のことが本当におかしかった。五の「あいおい」は味わい深い物語。幼馴染の二人の職人の確執が解消されて、「あいおい」という言葉の意味が分かった時に、感動がこみ上げてくる。2016/01/24