真昼の悪魔〈上〉―うつの解剖学

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  • サイズ B6判/ページ数 452p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784562036547
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

内容説明

「私は、うつ病が原因で生じた無能力状態を、さしあたってどうにか封じ込めているが、うつ病それ自体は、脳の暗号のなかで永遠に存在し続けるであろう。うつは私の一部なのだ」うつとは何か。どうやって闘えばよいのか。母の安楽死を契機にうつ病の「崩壊」を起こし、自殺まで試みた作家がこの問いに挑んだ。膨大な文献を読破し、多くの人に直接話を聞いた。薬物療法・心理療法について医師たちに、最新の医療技術について研究者たちに―代替療法士、ソーシャルワーカー、祈祷師、政治家、そしてもちろん患者たち。やがてこの問いは、人間の存在そのものへも迫っていく…。絶望と希望、苦悩と愛。重たく大きなテーマながら、次のページを読まずにはいられない興奮に満ちた本書は、発売直後から米英の新聞・雑誌が絶賛、全米図書賞「ノンフィクション部門」を受賞。多くの読者の熱烈な共感を得て長期ベストセラーとなった話題作の全訳。

目次

第1章 うつ病
第2章 崩壊
第3章 治療
第4章 代替療法
第5章 集団
第6章 依存症

著者等紹介

ソロモン,アンドリュー[ソロモン,アンドリュー][Solomon,Andrew]
アメリカ、イギリス両国籍をもつ作家、ノンフィクションライター。『真昼の悪魔』(The Noonday Demon:An Atlas of Depression)は、刊行直後から高い評価を受け、2001年全米図書賞「ノンフィクション部門」を受賞。『ニューヨーカー』、『ニューヨークタイムズ・マガジン』に定期的に執筆。イェール大学およびケンブリッジ大学を卒業。現在はニューヨークとロンドンに居を構えている

堤理華[ツツミリカ]
神奈川県生まれ。金沢医科大学卒業。麻酔科医、翻訳家。「ダンスマガジン」(新書館)等で舞踊評翻訳なども手がけている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

70
鬱病になったノンフィクションの作家が、自身の鬱病体験記や体験者や研究者などに取材し治療、薬品の考察をまとめたもの。正直、日本とは異なる文化社会の規範があり、まだ日本では未承認のプロザックなどの薬剤のことなども話題にでてくる。鬱病体験は言語化が難しいものと聞くがそれを表現しようとしている。実に濃ゆい。壮絶な鬱治療の取り組みには唖然としてしまう。怪しげな民間療法なども試し描写している。上巻だけであるがお腹一杯だ。今ではまた医学や常識が変わっているのは予想されるが、ここまで徹底的なのは驚いてしまう。下巻に。2018/03/10

くさてる

3
うつ患者であり作家である著者による、まさに「うつの解剖学」ともいうべき大著。歴史、治療、政治、様々な面からこの問題に取り組み、分析しているけれど、やはり著者自身のうつ経験や、実際のうつ患者の言葉の重みが半端ではない。私も同じような状態で休職した経験があるけれど、あの当時の重苦しい気持ちが目の前に再現されていくような卓越な文章の表現力に参ってしまった。あくまで外国の本なので、日本の現状にそのままあうわけではないけれど、この問題に関心がある人ならば読んで損は無いと思う。2013/08/21

lukas

2
著者はうつ病患者であると同時に作家でもある人なので、自らが苦しんだうつ病の症状を織り込みながら、現在のうつ病治療について取材したものを詳細に書いている。作家魂を感じる丹念な取材ぶりであり、また一うつ病患者としての苦しみの描写も迫力がある。 「うつ」という獰猛な「真昼の悪魔」と正面から向き合い、いかに飼いならすかに作家の全エネルギーを傾けたといえる作品だと思う。日本人のうつ病患者の書いた本でここまでエネルギッシュさを感じるものは寡聞にしてあまり見ないので、その意味でもとても面白く拝読した。2012/05/15

こるり

0
書かれてあるとおり、うつでの自殺は感情的な死より、圧倒的に理性的な死のほうが多い。 長期間ウツであることに耐えられなくなるのだろう。 妻子持ちリーマンなんかが、突発的に飛び降りるなんてのは、抗うつ剤のせいといってよい。 私は4歳からメランコリックのうつであり、PTSDによるうつであり、慢性抑うつでもあり、反応性うつでもある。 それでも死なない、人間は精神的な苦痛には強い。 だが借金や貧困、病苦が重なったときは、逃げ場がなくなったうつは悪化し、歯止めが利かなくなり、死を選んでしまうだろう。2011/02/15

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