出版社内容情報
レイプ事件で深く傷ついた私のもとに、突然現れた終活中の祖母と5人の老女。台中を舞台に繰り広げられる、ひと夏の愛と再生の物語。台湾の鬼才が紡ぐ、人生を癒す終活小説
大河巨篇『鬼殺し』で好評を博した、台湾の若手実力派作家、甘耀明の最新作。台中を舞台に、身寄りのない老人など社会的弱者に着目し、主な登場人物は全員女性という新境地となる長篇小説である。
主人公の「私」は、大規模な幼稚園に勤める二十代の女性保育士。ある年の夏、十数年音信不通だった祖母が、私に会いにやってきた。末期の肺がんに冒された祖母は、気がかりだった孫娘に、死ぬ前に会う責任があると思い、自らが営む小型の共同ホームの老女たち五名と老犬一匹と共に私の家に姿を現した。ちょうどその時、私は自宅で幼稚園の園長の息子にレイプされ、祖母は唯一の目撃者となる。私の心は傷つき、園長の息子を告訴し、幼稚園を退職、祖母を含めた共同ホームの老女たちと行動を共にするようになる。祖母の終活に寄り添いながらひと夏を過ごした私は自己回復していく……。
女性問題、独居老人、同性愛など、現代の台湾社会が抱える問題を捉えつつ、著者のまなざしは、社会的弱者の心を温めて?生?をいろどる?記憶?に注がれる。それが厳しい現実を生き抜く支えになるというメッセージをユーモア溢れるタッチで描いた傑作。解説・?樹のぶ子
甘耀明[カンヨウメイ]
著・文・その他
白水 紀子[シロウズ ノリコ]
翻訳
内容説明
レイプ事件で深く傷ついた私のもとに、突然あらわれた終活中の祖母と5人の老女と一匹の老犬―。台中を舞台に繰り広げられる、ひと夏の愛と再生の物語。
著者等紹介
甘耀明[カンヤオミン]
1972年、台湾・苗栗県生まれ、客家出身。台中の東海大学中文系在学中に小説を書き始め、卒業後は苗栗の地方新聞の記者などをしながら小説を書きためていた。2002年「神秘列車」で寶島文学賞審査員賞、「伯公討妾」で聯合報短篇小説審査員賞を受賞するなど、6篇が文学賞を続けて受賞し、03年に短篇小説集『神秘列車』を刊行。02年、東華大学大学院に進学し修士号を取得。05年、中短篇小説集『水鬼學校和失去媽媽的水獺』で「中国時報」年間ベストテン賞、中篇小説「匪神」で呉濁流文学賞、06年「香豬」で林栄三文学賞受賞。09年、『殺鬼』で「中国時報」年間ベストテン賞、台北国際ブックフェア小説部門などを受賞し、“新十年世代第一人”の代表作と高く評価された。15年、『邦査女孩』を刊行、台湾文学賞金典賞などの賞を受賞
白水紀子[シロウズノリコ]
1953年、福岡県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科(中国文学)修了。横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院教授。国立台湾大学客員教授、北京日本学研究センター主任教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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