出版社内容情報
トナカイとともに山で生きるエヴェンキ族。民族の灯火が消えようとしている今、最後の酋長の妻が九十年の激動の人生を振り返る。
【著者紹介】
1964年生まれ。中国の作家。「霧の月」(原題「霧月牛欄」)、「年越し風呂」(原題「清水洗塵」)で第一回・第二回の魯迅文学賞短編小説賞を受賞。「世界中のすべての夜」(原題「世界上所有的夜晩」)で三度目の魯迅文学賞の中編小説賞を受け、「アルグン川の右岸」で第七回茅盾〈マオトン〉文学賞を受賞。
内容説明
エヴェンキ族最後の酋長の妻、90歳の「私」は、仲間が定住地に移住していくのを見ながら、森の中で最後までトナカイと一緒に残ることを決意して、これまでの人生を語り始める。もともと民族はバイカル湖周辺に住んでいたが、ロシア軍が侵攻してきたため、アルグン川の右岸に渡る。そこは当時、清国だったが、やがて中華民国となる。そして日本軍の対ソ連前線基地となり、男たちは軍事訓練を受けるが、日本軍は敗退していく。やがて中華人民共和国の内モンゴル自治区に変わり、社会主義体制のもと、政府は医療の改善と教育の充実、また動物保護を名目にして定住生活を推し進める。だが彼らのトナカイとの共存共栄の生活が理解されず、狩猟民としての生活が破壊されていく。都市での定住生活に適合もできず、将来を見出せない狩猟エヴェンキ族。民族は徐々に衰亡し、やがて絶滅してしまうのではないか、と危惧する…。
著者等紹介
遅子建[チーズジェン]
1964年生まれ。大興安嶺師範専科学校中文系に入学し、在学中から作品を書き始め、卒業後、教師となる。その間に「北極対童話」を書き上げ数年後に発表し、実質的なデビュー作となる。87年、教師を辞めて、ハルビンの文芸誌『北方文学』の編集部勤務を経て、やがて専業作家になる。97年、「霧の月」(原題「霧月牛欄」)で第一回魯迅文学賞の短編小説賞を受賞。2001年、「年越し風呂」(原題「清水洗塵」)で第二回魯迅文学賞の短編小説賞を受賞
竹内良雄[タケウチヨシオ]
1945年生まれ。慶應義塾大学名誉教授。中国文学専攻
土屋肇枝[ツチヤトシエ]
1964年生まれ。慶應義塾大学、中央大学ほか講師。中国現代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
松本直哉
兎乃
かわうそ
miyu