台湾生まれ 日本語育ち

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  • サイズ B6判/ページ数 250p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560084793
  • NDC分類 810.4
  • Cコード C0095

出版社内容情報

三歳から東京に住む台湾人作家が、台湾語・中国語・日本語、三つの母語の狭間で揺れ、惑いながら、自身のルーツを探った四年の歩み。

東京在住の台湾人作家、待望のエッセイ

 著者は1980年に台湾人の両親の間に台湾・台北市で生まれた。3歳の時に家族と東京に引っ越し、台湾語混じりの中国語を話す両親のもと、中国語・台湾語・日本語の3つの言語が交錯する環境で育った。2009年、自身を投影した家族の物語「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞。将来を期待される若手作家だ。
 「あなたの母語は何ですか」と聞かれると、いつも戸惑う――。自由に操れるのは日本語だが、幼いころ耳にし、覚えかけたのは両親が話す台湾語混じりの中国語だった。相変わらず両親は家で台湾語混じりの中国語を話すし、たまに混じる日本語はオカシイ。学校では日本人の生徒と同じように振舞っていたが、街中で中国語を耳にすると懐かしく感じる……。「ピンインやカタカナを駆使してでも、どうにか輪郭をつけたい記憶が、私にはたくさんあるようなのだ」。
 本書は、台湾人の著者が、台湾語・中国語・日本語の3つの言語のはざまで、揺れ、惑いながら、ときには国境を越えて自身のルーツを探った4年の歩みである。両親が話す中国語は鞭をもって覚えさせられたものであり、祖父母が話す日本語も同様に覚えさせられたものだと知った著者が辿りついた境地とは。

【著者紹介】
1980年台北市生まれ。83年より東京在住。小説家。法政大学大学院・国際文化専攻修士課程修了。2009年「好去好来歌」ですばる文学賞佳作受賞。著書に「来福の家」など。

内容説明

3歳から東京に住む台湾人作家が、台湾語・中国語・日本語、三つの母語の狭間で揺れ、惑いながら、自身のルーツを探った4年の歩み。

目次

1(私のニホン語事始め;なつかしさよ、こんにちは ほか)
2(ペーパーガイジン;「投票」したい ほか)
3(母「國」語の憂鬱;幻の原稿 ほか)
4(イマジナジア―馬祖への旅(1)
台湾海峡の彼方へ―馬祖への旅(2) ほか)
5(失われた母語国を求めて;終わりの始まり)

著者等紹介

温又柔[オンユウジュウ]
作家。1980年、台湾・台北市生まれ。3歳の時に、家族と東京に引っ越し、台湾語混じりの中国語を話す両親のもとで育つ。2006年、法政大学大学院・国際文化専攻修士課程修了。2009年、「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞。2011年、『来福の家』(集英社)を刊行。同年9月から白水社のHPで「失われた“母国語”を求めて」の連載をスタート(2015年5月まで)。2013年、音楽家・小島ケイタニーラブと共に朗読と演奏によるコラボレーション活動“言葉と音の往復書簡”を開始(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

100
両親とも台湾人だが3歳からずっと日本。考えるのも書くのも日本語。 とすると母語は日本語なんだろうか? 本人も悩んだ時期があったようだが、結局、中国語、台湾語、日本語、3つが響きあっている、ということで。 文化のはざまで考える、エッセイ。2021/03/10

アキ

89
「おんゆうじゅう」と読むそうです。1980年台湾生まれ。2歳半で父親の仕事の関係で日本へ。それからずっと日本で住んでいるが、パスポートは中華民国。そもそも台湾は日本統治時代は日本語教育、日本敗戦後は日本語禁止で中国語、1949年以降戒厳令が敷かれ、1987年以降は台湾語と変遷があるため、彼女の祖母とは日本語で会話ができ、母親とは中国語と台湾語の混じった言葉で話をする。そんな著者が「日本人とはだれのことなのか?」「日本語はだれのものか?」と常に考え続けて、国語とはある日を境に別の言語に変わることもあること⇒2020/09/12

星落秋風五丈原

48
二度目の東京オリンピックを控えて、国際化に忙しい日本では羨ましがられるような語学力だが、著者自身は戸惑いを感じている。つまり、普通のバイリンガルとは“母語”(日本語或いは英語が)喋れてその上にもう一つ外国語が喋れることを指すが、著者の母語とは何だろう?私はどの言葉が堪能でなくてはいけないヒト?言葉の問題はアイデンティティに繋がる。長年日本に住んでいるにも関わらず参政権がなく、免許を更新する際に外国人登録証を提示しなければならないなど、ふとした時に感じる「日本人ではない」事実に著者は心を痛める。2016/04/16

TATA

47
台湾で生まれ、3歳の時から東京で過ごした温又柔さんのエッセイ。自分は殆ど日本人と感じながらも日本では外人扱いに違和感。普段は日本語で生活しているけれど、親の使う言葉とは違う。祖父母は日本語も理解できるという複雑さ。更に難しくさせる日台中間の歴史。そういったものを全て消化してこそのこのエッセイ、心して読まないと。台湾には出張で何回か行きました。確かにすごく親日的ですし、日本人が安心して旅行できる場所です。だけど、下関条約以後の複雑な歴史と政治事情の上に今の台湾があるということを知っておくべきなんでしょうね。2021/10/05

飯田健雄

34
この本を読んで感じたことは、なぜ、20代前半に台湾に旅行しにいかなかったという後悔である。この本の作者は、日本語、台湾語、中国語の狭間で、マージナルな感性を育てたが、私は、台湾に40年前に行ってれば、もうすこし、中国語がうまくなっていたのになと嘆息である。本の中に書いてある中国語は理解できた。ああ、今夜もNHK中国語講座だ。もう、5年続けているが、あまりうまくならず、中国語の表現をあの世にもっていく覚悟と根性で勉強しています。作者の温又柔さんのトリリンガルがとても羨ましい。2016/06/20

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