出版社内容情報
クリスティ、セイヤーズらと並び、四大女流ミステリ作家のひとりに数えられるアリンガム。その名探偵アルバート・キャンピオンの魅力を存分に味わえる日本オリジナル短編集。
内容説明
名探偵キャンピオン氏の魅力を存分に味わえる、粒ぞろいの短編集。袋小路で起きた不可解な事件の謎を解く「ボーダーライン事件」や、20年間毎日7時間半も社交クラブの窓辺にすわり続けているという伝説をもつ老人をめぐる、素っ頓狂な事件を描く表題作など計7編のほか、著者エッセイを併録。
著者等紹介
アリンガム,マージェリー[アリンガム,マージェリー] [Allingham,Margery]
1904年イギリス生まれ。冒険小説で作家デビューしたのち、ミステリ第一作The White Cottage Mysteryを1928年に刊行。アガサ・クリスティらと並び英国四大女流作家と称された。1966年没
猪俣美江子[イノマタミエコ]
慶應義塾大学文学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろんこ*勉強のため休止中
149
クラシカルで優雅な英国ミステリー集。殺人事件もあるのに、どこかのどかでおおらかな香り。ミステリー部分に関してはダイレクトなヒントの記述がなく、読者がとんちを働かせなくてはいけない部分が多々あった。無理矢理感が強く、アンフェアーな気がする話が多いかも。また主人公の青年探偵が上品で足が長い、とキャラが薄いのが残念。登場人物達の丁々発止の会話や、英国の古き良き時代の雰囲気を楽しむには良い本だと思う。表紙の青年の目つきが暗いが、実際は明るくてこじゃれた感じの話ばかり。字が大きく読みやすいのも私にはポイントが高い。2014/12/07
徒花
144
まぁまぁかな。イギリスを代表する女流ミステリ作家の人気シリーズらしいけど、探偵役のキャンピオン氏はどこか優等生すぎるというか、人間的に面白みに欠ける感じ。そして事件の内容やトリックもそこまで目を引くような奇抜なものではないので、あんまりのめり込めなかった。続編もあるけど、まあ読まないかな。2020/01/25
紅はこべ
122
殺人を扱ったのは巻頭作のみ。詐欺と泥棒が主の短編集。キャンピオンって確かに並み居る英国名探偵の中では、際立った個性がないな。女友達がやたらと多いくらいか。彼の秘法は「誰とでも酒を酌み交わす」「場所を選ばず友を見つける」成程。「怪盗〈疑問符〉」「懐かしの我が家」表題作が気に入り。2020/04/30
星落秋風五丈原
55
タイトル作はクリスティの「24羽の黒つぐみ」と共通点あり。警視が結構自信家でそれなりに推理します。イラストはこの路線でいくのでしょうか?何というか、ぱっとしないしどちらかと言うと暗いですよ。作品ではもうちょっと明るいと思いますけど。2018/09/20
HANA
51
古き良きミステリと言った趣。どの作品も手がかりを作中に示して読者に挑戦、と言った本格派ではなく、話に含まれる機知を楽しむものになっている。何となくブラウン神父シリーズを連想させるなあ。ある作品からはチェスタトンの某作品を思い浮かべたし。面白く読めたのは、ある一つの事実が分かることで全体像が見えるようになる「ボーダーライン事件」や一捻りの後にもう一捻りある「懐かしの我が家」、最後でニヤリとさせられる「犬の日」あたりかな。あっさりしているが独特の香気みたいなのが感じられるので、続編が出たら是非読みたく思う。2014/11/29