創元推理文庫<br> 養鶏場の殺人/火口箱

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創元推理文庫
養鶏場の殺人/火口箱

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  • サイズ 文庫判/ページ数 302p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488187118
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

英国で実際に起きた事件を基に執筆された表題作と、偏見がいかにして悲惨な出来事を招いたかを暴く「火口箱」を収録。現代英国ミステリの女王の魅力が詰まった傑作中編集。

内容説明

1920年冬、エルシーは教会で純朴な青年に声をかけた。恋人となった彼が4年後に彼女を切り刻むなどと、だれに予想できただろう―。英国で実際に起きた殺人事件をもとにした「養鶏場の殺人」と、強盗殺害事件を通して、小さなコミュニティーにおける偏見がいかにして悲惨な出来事を招いたかを描く「火口箱」を収録。現代英国ミステリの女王が実力を遺憾なく発揮した傑作中編集。

著者等紹介

成川裕子[ナリカワヒロコ]
1951年沖縄に生まれる。1975年香川大学経済学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょろんこ*勉強のため休止中

188
平易な文章、シンプルな構成。2つの中編はウォルターズにしてはかなり読みやすい。『養鶏場の殺人』は小さなエピソードの積み重ねで事件を浮き彫りにしている。精神が歪んでいる被害者に、お人好しとも言える犯人の青年が追い詰められていく様子はまさに心理的ホラー。最後の一文にはぞっとした。『火口箱』は伏線回収型の本格派ミステリー。あっと唸る予想外の結末だった。どちらも限定された社会の中での人間の嫌な面をこれでもかという位にあぶりだしていて、まさにイヤミス。テンポよいストーリー展開、じわっとくる圧迫感。一気読みした。2015/02/23

barabara

64
すごい。堪能。カタルシス。人間の裏側にある悪意、そこをめくってチラと覗く躊躇や正義、面白すぎて少しスピードダウンしようとしても出来ない秀逸さ。ミネットすごいなぁ。個人的には中編をもっと読みたい。とりあえず今年度ベスト。完2014/03/30

星落秋風五丈原

61
二人の出会いは本当にありふれたものだった。しかし殆どの事件は、こうしたありふれた事の中で起こっている。ウォルターズは、日常の繰り返しの中で悲劇の萌芽がいかにして育ってゆくかを克明に描く。ウォルターズの推理の通りであれば、殺人においては無罪。しかし死体遺棄・死体損壊においては有罪。これが初犯であるにもかかわらず、なぜ彼が死体への冒とくとも思える行為に踏み出せたのか、動機への追及が曖昧だ。また、もっとつきつめれば、生ける彼女に危害を加えたことと、死せる彼女に危害を加えたことにおいて、罪状に差をつけて良いのか?2015/06/06

菜穂子

60
翻訳物であっても読みやすいと言うので手に取ってみる。実際の事件を扱ったいう。養鶏場の殺人、今で言うならストーカー的な年上の女性と気弱な年下男性との恋の行方とその結末。ラストの真相は…神のみぞ知る。歩口箱、小さな共同体での偏見や差別意識が渦巻く中での殺人事件。犯人とされた青年の家族が標的にされる。その後の展開はまさかの連続。どちらも人間の弱さや浅ましさに目を背けたくなる。2019/01/24

miyu

49
「養鶏場の殺人」は被害者が可哀想だとも思えず、かといって哀れな加害者に少しも同情の気持ちがわかない点がウォルターズ作品らしい。「火口箱」は彼女の作品の常連のような「思い込みが激しいが見映えはよく、正義感のある女主人公」が登場する。魅力的な女性がゆえ、解っていながら又してもミスリードされてしまった。時系列を前後しつつ話が展開する点もじっくりと考察できない原因なのだが、犯人が当てられなくても別段悔しい思いなどしないのが、ウォルターズのよいところだ。最近やや飽きてきてたのだが、この程度の中篇ならまだイケるかも。2014/07/27

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