出版社内容情報
アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』に先んじたような作品「古書の呪い」を初め、閉ざされた現場から忽然と消えた殺人者の謎「ブルー氏の追跡」、陸へ上がったばかりの提督が殺害された奇妙な事件とブラウン神父の鮮やかな推理が印象的な「緑の人」や、「共産主義者の犯罪」など、いずれもチェスタトン特有のユーモアと逆説にあふれた9編を収録する。名シリーズの最終巻が読みやすくなって、新しいカバーでリニューアル!
内容説明
その古書を開いた者は跡形もなく消えてしまう―そう伝えられるとおりの奇怪な事件が起きる「古書の呪い」を始めとして、閉ざされた現場での奇妙な殺人の謎がこのうえなく鮮やかに解かれる傑作「“ブルー”氏の追跡」など、いずれもチェスタトン特有のユーモアと逆説にあふれた全9編を収録する。全編が傑作にして必読であるという、奇跡のような“ブラウン神父”シリーズ最終巻。
著者等紹介
チェスタトン,G.K.[チェスタトン,G.K.] [Chesterton,Gilbert Keith]
1874年イギリス生まれ。作家、評論家。逆説と諧謔の大家として知られ、“ブラウン神父”シリーズに代表される短編推理小説は、コナン・ドイルの作品と並んで後世の作家たちに計り知れない影響を与えた。1936年没
中村保男[ナカムラヤスオ]
1931年生まれ。東京大学文学部英文科卒。2008年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
104
★★☆☆☆ ブラウン神父シリーズ最終作。 さすがにマンネリ感は拭えず、逆説の論理も切れが鈍い印象である。 事件の真相自体、小粒なものが多いようにも思う。 そんな中では『緑の人』が、結構などんでん返しで1番面白かった。 次点で冒頭の言葉が後からジワジワくる『ピンの意味』。 まぁシリーズのファンになった人以外は無理して読む必要ないだろう。2019/11/27
ehirano1
70
表題作について。逆説と切り返しのユーモアが素敵です。事前情報なしで読んだら本書はシリーズ最終巻とのこと・・・あらららら。機会があれば遡ってみたいと思える作品でした。2023/04/15
イシグロ
19
ブラウン神父、5冊目にして最後となる短編集。 国産ミステリの近作ばかり読んでいた身体からすると、チェスタトンのひねくれた上にひねこびた文体は読み辛く、なかなか難渋しました。 しかし、ブラウン神父ものがどういうミステリかと言うと、見た目とは違う真実がブラウン神父にだけは見えてしまう、という話で、なぜ神父にだけそれが見えてしまうのかというと、彼だけが偏見や思い込みから自由だから。 でも、読者は騙されてくれないと困るわけで、このひねた文体はそのために必要なんですね。 『古書の呪い』『とけない問題』が秀逸でした。2021/04/30
のざきち
17
ブラウン神父シリーズ第五短編集にして最終巻。前四短編集同様、いずれの作品もチェスタトン特有の逆説とユーモアに溢れている印象です。推しは、その本を開いた者は跡形もなく消えてしまうと伝わる通りの事件を描いた有名作「古書の呪い」と相棒フランボウがまだ引退する前の頃の冒険「とけない問題」。2020/12/05
ハルバル
13
ブラウン神父シリーズ読了なり。今巻は一応流し読みではなく伏線やトリックを意識しながら読みましたが、それでも気持ちよく騙されました。大真面目にボケをかましたり、とても幻想的だったりと語りが巧すぎ。神出鬼没、しかも頭が切れすぎて一人突っ走っちゃって言葉足らずなせいで誤認逮捕に手を貸しちゃうブラウン神父、面白すぎる。好きな作品は、タイトルの不気味さとは裏腹にとっても可笑しい「古書の呪い」、最後の悲喜劇のコントラストが美しい「緑の人」、なるほどタイトルはそういう意味か…な「とけない問題」。2017/11/12