出版社内容情報
ちょっぴりおませな女の子、悦ちゃんがのんびり屋の父親の再婚話を巡って東京中を奔走するユーモアと愛情に満ちた物語。初期の代表作。解説 窪美澄
内容説明
悦ちゃんはお転婆でおませな10歳の女の子。ちょっぴり口が悪いなおはご愛嬌、歌がとても上手で、周りのみんなも目が離せない存在。早くに母親を亡くして、のんびり屋の父親と二人で暮らしているが、そこへ突如、再婚話が持ち上がったから、さあ大変。持ち前の行動力で東京中を奔走、周囲を巻き込みながら最後は驚きの事件が!ユーモアと愛情に満ちた初期代表作。
著者等紹介
獅子文六[シシブンロク]
1893-1969年。横浜生まれ、小説家。劇作家・演出家。本名・岩田豊雄。慶應義塾大学文科予科中退。フランスで演劇理論を学び日本の演劇振興に尽力、岸田國士、久保田万太郎らと文学座を結成した。一方、庶民生活の日常をとらえウィットとユーモアに富んだ小説は人気を博し、昭和を代表する作家となる。『娘と私』はNHK連続テレビ小説の1作目となった。芸術印象受賞、文化勲章受章。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
87
面白かったです。おませな女の子悦ちゃんと、頼りない父ロクさん。二人の静かな生活に突然、ロクさんの再婚話が持ち上がったことから騒動に。ロクさんが本当にダメなお父さんなんですが、悦ちゃんがとにかく可愛い。いつも元気で逞しく、でもお母さんが欲しくて堪らない…。軽妙な文章で戦前に描かれたものには思えません。ただ、道徳観は今とはだいぶ違いますね。当時の世相が興味深いです。ラストの悦ちゃんのセリフが素晴らしいです。2016/06/30
bookkeeper
81
★★★★☆ 再読。妻を亡くした碌さんは娘悦ちゃんの為に再婚を決意する。相手は資産家のカオルさん。だがインテリのカオルさんと悦ちゃんはどうにも相性が悪い。優しいデパート店員、鏡子さんの方が良いのにな。 レコードや銀ブラを楽しむ文化が花開く一方、女性が選択の権利をあまり認められなかった時代。その中で精一杯生きている悦ちゃん達の健気さに胸が熱くなります。碌さん、後半ロクでもない…。鏡子さんの新聞売りに、日本人のコスプレ好きの萌芽が感じられました(笑)。この後の日本の歴史を思うと、しんみりしてしまうよ。2021/08/24
ばんだねいっぺい
74
いやいやいや、控えめに言って最高の物語。悦っちゃんのいじらしさは言うまでもなく、最後までテンションの落ちないドタバタ劇を楽しんだ。平成のブームも頷ける。ドンドン読もう。2017/08/22
ken_sakura
64
悦ちゃん(^。^)コメディ調。主人公は10歳の女の子悦ちゃん。名前は柳悦子。パパは柳碌太郎、作詞家。ママは悦ちゃんが七歳の時に天国へ。よって、悦ちゃん曰く、墓の下にはいるわけはないぜ(クソガキ(^◇^;))物語は碌さんに湧いた再婚話に始まり悦ちゃんにママが出来るまで。持参金付きの美人令嬢カオルさんに碌さんが参ってしまって、さあ大変。どんなピンチも何とかしてくれる感満載なハードボイルド悦ちゃん。人が良い碌さん。内気の奥に根性を持つシャンなデパートガール鏡子さん。昭和十一年報知新聞での著者初の新聞小説とのこと2019/03/30
まあこちゃん
58
古い文体の文章に、少々苦戦するかなと思い読み始めたが、これが面白くて面白くて、頁をめくる手が止まらない。亡き妻の三回忌を終えた柳碌太郎(碌さん)の再婚相手を探す話なのだが、それは即ち一人娘の小学生、悦ちゃんの新しい母親になる人を探す事にもなるわけで、姉夫婦が勧める令嬢のカオルさんを気に入る碌さんと、悦ちゃんがお母さんになって欲しい鏡子さんとのやり取り、すれ違い、ライバルの出現等々、色々な騒動が起きて、話が思わぬ方向にどんどん展開していく様が、とにかく楽しい!魅力的なキャラクター達に、最後まで引き込まれた。2017/10/09