ちくま学芸文庫
中華人民共和国史十五講

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 694,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480095961
  • NDC分類 222.077
  • Cコード C0122

出版社内容情報

八九年天安門事件の学生リーダー王丹。逮捕・収監後、亡命先で母国の歴史を学び直し、敗者たちの透徹した認識を復元する、鎮魂の共和国六〇年史。

内容説明

1989年、6・4天安門事件の学生リーダー、王丹。事件後、二度の獄中生活を経て米国へ亡命、ハーバード大学で歴史学を修め、台湾で教鞭をとりつつ人権活動家として活躍する著者が、中華人民共和国60年の歴史を語った講義録。度重なる政治運動を始動し、ライバルたちを粛清し続けた毛沢東。失脚を繰り返しながら復活をなしとげ、改革開放路線を主導するも、天安門事件で市民たちに銃口を向けた〓(とう)小平。巨大な独裁者に対峙して敗れ去った者たちを、いま鎮魂しなければならない。強く心に響く、正統的な現代史。

目次

中華人民共和国の成立
軍事/朝鮮戦争
都市/「三反」・「五反」運動
農村/「土地改革」から人民公社へ
知識分子/思想改造から胡風事件、「反右派」運動へ
党内/盧山会議
外交/中ソ関係の破綻と中米合作
「文化大革命」の発動と展開
文化大革命の終焉―林彪事件から四・五天安門事件へ
〓(とう)小平時代の開幕
八〇年代の改革開放―胡耀邦から趙紫陽へ
六・四天安門事件
経済と文化
公民社会の成長
六〇年の回顧

著者等紹介

王丹[オウタン]
1969年、北京に生まれる。北京大学に在学中、学園の民主化運動に従事。1989年、学生代表として89民運を主導し、「6・4天安門事件」により懲役4年の刑を受ける。1995年、再逮捕。1998年4月、釈放されアメリカに亡命。三度、ノーベル平和賞候補になる。アメリカの民主基金会人権賞ほかを受賞。ハーバード大学に入学し、歴史系博士の学位を取得。台湾の中央研究院近代史研究所で研究、カリフォルニア大学、オックスフォード大学で客員研究員を勤める。台湾清華大学客員教授

加藤敬事[カトウケイジ]
1940年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部東洋史学科卒業、みすず書房に入社、1998‐2001年、同社社長。現在、東アジア出版人会議理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

16
再読。著者は1989年の中国民主化運動の中心的人物。89民運はテレビでリアルタイムに見て今も私の脳裏に焼き付いている。感想としては前回の感想に付け加えることはそれほどないが、読んでいて王丹さんの中国民主化への考えは劉暁波さんとそれほど変わらないことが理解できた。王さんは今台湾を離れ、アメリカで留学生相手に民主化の意義を説く活動に軸足を移しているとのこと。中国民主化への道のりは依然として困難だが、中国が民主化され王さんが北京の懐かしい生家に帰れる日が近いうちに訪れることを心から願う。2018/08/15

勝浩1958

7
王丹はこう語っている。「政治領域への圧制と公共領域への抑圧によって、中国人の公共生活-政治生活から娯楽生活まで-は、きわめて歪められている。恐ろしいのは、人々が徐々にこの歪みを知り尽くし、この歪みに慣れてしまうことかもしれない。その意味で、これは奴隷の政権であり、奴隷の政権は奴隷の精神(中略)を培うのである。」世界中がこれだけ発展している状況にあって、いまだにこのような奴隷国家が存在しているのだ(北朝鮮しかり)。私たち日本人も政治に対してもっと主体的に行動しないと、いつの間にか歪みに気づかなくなるかも。2014/02/28

燃えつきた棒

6
天安門事件の学生リーダー王丹が、台湾の精華大学で行った講義を編集したものであり、大変読み易くて分かりやすい。 そのまなざしは、冷静さの内にアラン・レネの「夜と霧」のような激しい怒りを湛えている。 六・四天安門事件の部分は、涙なくしては読めなかった。 その視野は、政治経済はもちろん文化にまで及び、なかでも独立映画製作運動に触れた部分は非常に興味深かった。 天安門以後の王丹の確かな持続が感じられるのが嬉しい。 2014/03/16

Francis

3
1989年の中国民主化運動の学生リーダーだった著者による中国共産党統治下の中国現代史。反右派闘争、大躍進、文化大革命など、現代中国での重要な出来事がよく分かる。特に中国民主化運動の記述については著者が直接かかわっただけに読み応えがある。著者は建国当初の理想を失った中国共産党には完全に失望しつつも、インターネットの普及やNGOなど新しい公民社会の形成の動きに中国の真の民主主義の確立への希望を見いだそうとしており、そこに好感が持てる。2014/02/19

0
読みごたえがすごい2018/04/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/7879792
  • ご注意事項