内容説明
芸術表現につきつけられたアポリア。落日しつつある西洋社会の閉塞感のなかに胚胎し、続く大戦経験がもたらした表現とは?前衛芸術、録音メディアの登場、ジャズの熱狂、音楽の国有化…音楽史の切断面への試論。
目次
第1章 戦争の「前」と「後」―音楽史の亀裂としての第一次世界大戦(アヴァンギャルドの誕生;アメリカ・ポピュラー音楽の勃興;録音音楽の時代;音楽における国際主義;国有化される音楽?)
第2章 モダニズムからアヴァンギャルドへ―大戦勃発前に起きたこと(戦争の予感;戦場となる演奏会場;シェーンベルクと不協和音の解放;ストラヴィンスキーとリズムの解放;未来派とノイズの解放)
第3章 熱狂・無関心・沈潜―戦中の音楽状況(「精神の戦い」としての第一次世界大戦;総動員体制の中の音楽?;世代交代期としての第一次世界大戦;出兵した作曲家たち;亡命者たちの音楽;内なる戦争体験)
第4章 社会の中の音楽―パウル・ベッカー『ドイツの音楽生活』をめぐって(音楽は社会が作る;音楽における資本主義への批判;音楽社会学的テーゼの反転―ベッカーからアドルノへ;最後の啓蒙主義者としてのベッカー?;音楽を通した国際的融和の希求;戦争がもたらしたもの)
第5章 音楽史における第一次世界大戦とは何だったか―戦間期における回顧から(一九二〇年代の音楽と新古典主義;ハインリッヒ・ベッセラー「音楽聴取の根本問題」と戦前音楽文化への批判;ベッサーラーと「行動する音楽」の美学;ベッセラーの思想とユーゲント運動)
著者等紹介
岡田暁生[オカダアケオ]
1960年生まれ。大阪大学大学院博士課程退学。現在、京都大学人文科学研究所准教授。文学博士。専攻は音楽学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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