内容説明
ユング自身によるユング理論の解説ともいうべき本書は、最も興味深い問題である無意識を様々な例を引いて解き明かす。
目次
第1章 精神分析
第2章 性愛理論
第3章 他の観点・権力への意志
第4章 対応タイプの問題
第5章 個人的無意識と超個人的・集合的無意識
第6章 綜合的あるいは構成的方法
第7章 集合的無意識の神話類型
第8章 無意識の把握、治療に関する一般的な事柄結語
感想・レビュー
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roughfractus02
7
19世紀精神医学は精神をエネルギーとして扱い、当時の熱力学用語によって科学化を試みた。フロイトがエロス、アドラーが成長と力と解釈したこのエネルギーを、著者は内向/外向の2軸と思考・感情・感覚・直観の4象限で座標化し、タイプ論に統合する。が、ここまでは個人の無意識の問題だった。本書は、著者の中年期の危機の体験から、人生後半を正午を過ぎて正午を知る矛盾、という太陽の運行で喩え、生の縮小という生物面に対峙する人間の集合的無意識との関係(個性化)を語る。背景にはニーチェ「大いなる正午」への批判的検討があるようだ。2021/05/27